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薬局DXニュース解説

2025.10.08

ポイントは「物価上昇」?次回改定の「改定率」とは

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9月に入り、中央社会保険医療協議会でも「調剤その1」が始まり、改定に向けたペースが上がってきたように感じます。報酬以外にも「薬機法改正の施行」や「OTC類似薬の保険給付見直し」「後発医薬品政策」と論点が多いですが、方向性を定める「改定率」がプラスになるのか、マイナスになるのかということに注目をしている方も多いと思います。

メディアやセミナー、SNSでは「マイナス改定が優勢?」みたいですが、そう簡単には予想できないのではと個人的には思っています。

なぜ「マイナス改定が優勢」と言われるのか。それは、社会保障費が年々増加し歳出を増加させているからです。さらには社会保障「医療・介護・福祉・子ども」と言われる4大経費のうち、高齢化の影響を受ける「医療」「介護」に関する費用が一層増加していくからです。一定程度の自然増は考慮しながらも、伸びを抑えるにはマイナス改定にして単価を抑える必要があるから。

と、ざっくり書くとこんなところでしょうか。それはもっともな話ですが、今回その「医療費の伸び」について2025年9月17日に行われた中央社会保険医療協議会総会「最近の医療費の動向について」より、考えさせられる発言があったのでご紹介したいと思います。

発言者は2号(診療)側の太田圭洋委員(日本医療法人協会副会長)
「医療費の伸びは消費者物価の伸びを大きく下回ってる」

診療側委員ですので、「プラス改定希望」が前提ではありますが、医療費の伸び「2.9%」(2023年)、「1.5%」(2024年)に対し、消費者物価は「3.2%」(2023年)、「2.7%」(2024年)となっています。医療費の伸びは公定価格である薬剤料や技術料なので物価高騰は関係しませんが、施設運営に販売管理費の高騰は大きな影響があります。さらには最低賃金上昇による人件費増も加わってきます。

単に、「医療費の伸びをどうするのか」という視点で議論が動いていますが、医療機関等の適切な運営のためには経営環境の変化も考慮しなければいけないという、これまでになかった視点からの発言だったように思います。

改定率については最終的には内閣総理大臣、財務大臣、厚生労働大臣による大臣折衝で決まりますが、「厳しい」と言われる次期改定。ポイントは「物価高」「賃上げ」にあると私は考えています。
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