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THE比較

2024.04.14

2024年版 調剤レセコン選び&比較 (2024年4月更新)

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薬局経営者・システム担当者のためのシステム選びサポート&システム比較シリーズ。薬局経営歴20年のベテラン経営者が、新米システム担当者(薬局勤務7年目、管理薬剤師歴2年)に各システム選びのポイントを伝授します。

新米システム担当者

社長から「若手社員にシステム選定を任せる」って言われちゃったんですけど、どうしたものか。。。
レセコンってどれも同じですよね?

ベテラン経営者

そうそう、どれも同じ。って、それじゃこのコーナーこれでおしまいでしょ。
いやいやいや、できることは同じでも、そのやり方や、できる程度に違いはけっこうあるんだよ。レセコンは薬局業務に不可欠で、一度使い始めたら、かんたんには変更できないから慎重に選ぶ必要があるよね。

そういうもんなんすね。レセコンは事務が使うものだとばかり思って、レセコン選びは事務さんに任せようと思ってました。

事務目線ももちろん重要だけど、薬局規模が大きくなってくると経営者側に役立つ機能がはいっているかどうかの方がより重要になってくるよね。

では、まずレセコンの基本から押さえていこうか。

レセコン(レセプトコンピュータ)とは

レセコンとは、レセプト(診療報酬明細書)を作成するためのコンピュータのことで、正しくは「レセプトコンピュータ」で、略して「レセコン」と呼ばれることが多く、その他には「医療事務コンピュータや医療コンピュータ」とも呼ばれます。
レセコンの基本機能
・処方箋受付(オンライン資格確認、電子処方箋、QRコード入力)
・処方入力(一般名処方からGEへの変更、調剤指示、各種加算処理)
・保険点数の自動計算(会計)
・レセコン以外の薬局システムへの処方データ連携(※NSIPS
・レセプト作成・請求
・集計業務(日次・月次)
・その他(BI連携)
※ NSIPSとは、調剤システム処方IF共有仕様「New Standard Interface of Pharmacy-system Specifications」の略で、レセプトコンピューターや調剤鑑査システム、錠剤・散薬自動分包機等の調剤システムを連動させるための共有仕様のこと。

知らない機能もけっこうありますねー

調剤レセコン自体は1990年代からあるから、バージョンアップを繰り返して機能が豊富にある機種が多いね。
では、まず普段処方入力などでレセコンを使う人目線での選定ポイントから説明しよう。

事務目線とは言わないのですか?

処方箋枚数が多い薬局では入力専門の事務が必要なのは確かだが、
・処方箋枚数が少ない
・門前の医療機関からの処方箋がQR付き
だったりする場合は、必ずしも調剤事務は必要ではないな。
独立したての時は自分で処方箋入力することもあるだろうし、また調剤報酬やレセプト関連に詳しくない薬剤師1人で業務をさせる状況なども想定して、かんたんかつミスが発生しにくいシステムを選んで行くことが肝要だね。

処方入力する人目線でのレセコン選定ポイント

直感的に入力できる
・直接入力(処方箋通りに入力)
・コード化されていない(331など)
・マニュアルが無くても入力できる
 (時間帯によっては薬剤師に入力してもらわないといけないため、薬剤師でも入力できる)
・他店舗にヘルプで入っても大丈夫
・画面の見やすさ(加算が取れているか)

加算を正しく請求できる
・加算取り漏れ防止

スピード
・画面遷移の待ち時間が少ない方が望ましい
・QRコード(その後の修正処理がどの程度少ないのかは確認ポイント)
・画面遷移に融通が利く

本部目線でのレセコン選定ポイント

初期コスト、月額利用料、次期バージョン
・初期コスト+月額利用料のトータルで比較することは基本。
・月額利用料モデルでずっと変わらないか、約5年毎に新バージョンが出て、更新時に費用がかかるものか(レセコンメーカー直販ではなく、代理店を通して販売しているケースは、新バージョン購入時に初期コストがかかるものがある)
・ハードウェアは薬局手配 or レセコン会社手配(ハードウェアトラブル対応時の切り分けを考えると、レセコン会社手配の方が楽で管理コストが低い。薬局手配は、薬局内に情報システム部的なところがある場合しかオススメしない)
・操作指導を自社で行う事で、導入費用が安くできるか。

一体型電子薬歴の評価
・一体型電子薬歴の方がコストが低いので、それに満足できるのであれば幸い。
・今後の電子お薬手帳対応を考えると、一体型電子薬歴の方がオペレーション的に楽な可能性がある。
・電子薬歴専門メーカーと連動する時には、NSIPS以外の連動ができるのか確認(NSIPSだけの方が多い)

加算を取り漏れない
・自家製剤、一方化の操作
・チュアブル錠・舌下錠(自動的にできない)など

レセプト
・レセプトチェック/返戻防止対策
  ASPに近い形が望ましい、返戻が多いと問い合わせが増えて業務が滞る
・地方公費の対応状況

集計機能の充実と他システム連携
・種類の多さも重要だが、使いたい集計があるかどうか
・管理会計ソフトとの連携が容易かどうか

店舗応援を容易にするために
・用法などのマスタ統一ができる

クラウド対応
・本部などからの処方入力が可能 薬剤師のワンオペ対策
・BCP対策(事業継続計画) 水害・地震・火災などにも安心

電子処方箋対応などの将来性
・電子処方箋対応も、なんがだかんだでレセコンが起点のままなので

本部目線はかなりの選定ポイントがありますね。

これだけでもまだ語り足りないくらいだが、今回はこれぐらいで勘弁しておこう。

語り足りないって、どんだけ、、、
ところで、クラウドレセコンって初めて聞きましたが、レセコンもクラウド化していくんですか?

いま世の中的には、オンプレ(オンプレミスの略:自社保有、薬局で例えると店舗内にデータを保存する方法)からクラウドへという流れがあるというのは知っているな。

はい、なんとなく。
オンプレミスとは?クラウドとの違いと比較をわかりやすく解説

薬局でも今後クラウドレセコンが伸びていくと考えられるのは、次の理由から

クラウドレセコンのポテンシャル

<多店舗のスケールメリットを活かしやすい>
●処方箋入力のDX
・クラウドの場合、集中入力センターや他店からの処方箋入力など柔軟な運用ができる
●集計管理
・データがもともと一元化されているので、管理コストが低減される。集計がリアルタイム

<導入コストの低減>
●端末が複数台になる場合
・オンプレミスの場合は、WindowsServerOSとサーバ機が必要なる
(クラウドが普及しているの、ハードウェアのサーバ機は値段が高騰している・・・)
・クラウドの場合、店舗端末はクライアントOS(Windows11等)で済むので、安上がり
●導入のしやすさ
・一般的にクラウドの場合、オンプレに比べ導入がかんたんで低コストのことが多い
・オンプレミスの場合、導入当初にサーバスペックを決めた後、
 処方箋枚数の増減に柔軟に対応できないが、クラウドの場合は柔軟に対応できる

<運用管理コストの低減>
●サーバ管理とハード保守
・オンプレミスの場合、ハード保守期間に限界があり(5~8年程度)更新作業が必要
(多くの場合更新作業は有償)
・クラウドの場合、メンテナンスや障害対応をサービス事業者に任せられる
・クラウドの場合、データ管理する場所が少なくなるので、セキュリティ対策が簡素化できる
●BCP対策(事業継続計画) 
・クラウドの場合、薬局にデータを置かないので、水害・地震・火災などにも安心

<サイバーセキュリティ>
・「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版」では、医療情報システムを「医療機関内に保有している場合(いわゆるオンプレ型)」と「医療機関内に保有しない場合(いわゆるクラウド型)」に大きく分けている。
・クラウド型の場合、医療機関・薬局はサーバーの管理を事業者に任せられる。
リスク管理でいうと、リスクを外部に委託するような形になり、薬局で対応すべきことが少なくなるので、現場での管理負担を減らすことができる。

<発展性>
・他のクラウドサービスと連携しやすい

ブロードバンドが普及した2002年にEMシステムズからASP型レセコン発売されたが、当時は回線やサーバ処理能力の問題でさほどは普及しなかった・・・(遠い目)
その当時、普及の妨げになった問題が解決してきているので、これからの選択肢としてはクラウドはありなのだよ。

クラウドの弱点はないんですか?

一般的にクラウド利用では、通信障害が弱点になるね。とは言え、通信障害は複数の回線を用意(光回線+LTE回線)をすることで回避可能だ。サーバ障害は、オンプレサーバでもクラウドサーバでも障害発生は一定確率で起きるので、特にクラウドだから弱点とは言えない。障害が発生した際の代替手段を考えておくのは、オンプレサーバでもクラウドサーバでも必要だ。

これから独立する場合のレセコン選定のポイントは?

これから独立しようと考える人にレセコン選定のアドバイスが欲しいのですが、、、

2023年は電子処方箋、2024年は医療介護W改定の予定は決まっている。対物から対人業務へのシフトも止まらない。

薬局システム選び全般に言えることだが、IT活用はこれからの薬局経営に不可欠な要素。単に導入するだけ(デジタライゼーション)ではダメで、使い方によって結果が大きく異なってくるのがDX(デジタルトランスフォーメーション)。

DX志向でいくと、レセコンはSoR(System of Records)に当たるシステムだ。安定性・継続性が求められるので、単純にレセコンだけということを考えれば、メジャーどころを選んでおけばハズレはないだろう。

しかし「対物から対人業務へのシフト」から考えると、より重要なのはSoE(System of Engagement)になってくる。これは服薬指導(電子薬歴)やフォローアップなどの患者接点アプリなどが該当する。

何を目指して開業するのか、その目的に合致するSoE(System of Engagement)=電子薬歴や対患者(顧客)のシステムを選ぶ。で、そのSoEシステムと親和性の高いレセコンを選定するというが一つの方法だ。

何を目指して、、、って難しいですね。
例えば、在宅訪問に特化した薬局を、と考えたら、在宅業務に強い電子薬歴を選び、レセコンはその「在宅業務に強い電子薬歴」と相性の良いメーカーを選定するみたいな感じでしょうか?

そうだね。
あともう一つの方法は、ITパートナーとしてレセコン業者、特に営業(サポート)担当を選ぶという方法があるな。

ITのパートナーですか?

そう、ITのことはITの専門家に任せる。これが一番「楽」。なので、システム選びを通して相性の良いITパートナーを見つけることができれば、それが将来においても役立つと思うよ。
薬局システムのパートナーを選ぶ
・すぐに確認できる(算定のこと、ハードのこと、システムのこと)
・将来、発展したときにシステムがどのように対応できるか確認しておく
・やりたいことに対して適切な意見や事例を紹介してもらえる
(もちろん自分の人脈で探す方法もある)
どの程度のことが薬局でできるか、どの程度のサポートを求めるか
・サポートが手厚い(料金は高め)・・・直ぐ来てくれる
・サポートが簡略化(料金は安め)
・コスト削減にはスタッフ教育が重要
(各種トラブル対処を薬局スタッフができて当たり前くらいの意識がないとサポート費用が高くなる)
担当者との相性が良い
・話せる人(細かい、ビジョンがある人)
・担当者が相性が合わなかったら、チェンジ申請もアリ
(代わりの担当が来る保証はないけど)

レセコンとしての安定性・継続性、薬歴、担当者、いろいろな視点で考えてみます。

調剤レセコンの主要メーカーは?

ところで、調剤レセコンってどんなメーカーがあるんですか?

国内の保険薬局向けレセコン(調剤レセコン)市場は、10年前には20社超あったが、現在はEMシステムズとPHCの上位2社で国内シェアの5割超、上位数社で8割近くを占めているとも言われているね。

調剤レセコンシェア1位 EMシステムズ

(株)EMシステムズ
Recepty NEXT、MAPs fpr PHARMACY DX
https://emsystems.co.jp/

システム開発者インタビュー:EMシステムズ【PR】

※MAPs for PHARMACY DX の電子薬歴は、グッドサイクルシステム社のスマート薬歴GooCoDXです。

調剤レセコンシェア2位 ウィーメックス(株)

ウィーメックス(株)
PharnesX(ファーネスクロス)
(株)ユニケソフトウェアリサーチ
P-CUBE n
※(株)ユニケソフトウェアリサーチは、(株)EMシステムズグループに加入
2023.6.27 https://pharmacydx.com/news/497
三菱電機ITソリューション(株)
調剤Melphin / DUO
(株)ネグジット総研
調剤くん

(株)シグマソリューションズ
エリシアS

※富士フィルムヘルスケアシステムズ(株)は、電子カルテ・レセプト関連事業をPHC傘下のウィーメックス株式会社へ譲渡契約締結(詳細は下記リンク参照)

https://pharmacydx.com/news/332

調剤レセコンの比較

では、調剤レセコン市場シェア上位2社のレセコンを比較してみよう。
薬局レセコン 市場シェア上位2社比較表

薬局レセコン 市場シェア上位2社比較表

<出典>調剤薬局ユーザー数に関しては下記資料より調査しております。
EMシステムズ 薬局向けシステムは18,084ユーザー
https://pharmacydx.com/news/39
PHC 薬局向けシステムは14,000ユーザー
(2022年11月16日 PHC中期経営計画)
https://pharmacydx.com/news/32

それぞれセールスポイントも違いますね。実際の使い勝手が気になります。

最近ではWebデモなどにも対応しているから、ネットで調べるよりも、まずは問い合わせて自分自身で確かめてみることが肝要ぞ。

上位2社以外も知りたいのですが、、、

それは次回以降のお楽しみじゃ!

はーい
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