地域医療において重要な役割を担う薬局薬剤師の機能強化に向けて、厚生労働省が新たな一歩を踏み出した。令和4年7月に公表された「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループとりまとめ」では、5大疾病(がん、脳卒中、心血管疾患、糖尿病、精神疾患)への対応について、薬局薬剤師による継続的かつ細やかな対応の必要性が指摘されていた。
この提言を受け、厚生労働省は令和5年度の委託事業として「薬局における疾患別対人業務ガイドライン作成のための調査業務」を実施。その成果として、このたび「薬局における疾患別対応マニュアル ~患者支援の更なる充実に向けて~」を作成、公開するに至った。
本マニュアルは、がん、脳卒中、心血管疾患、糖尿病に加え、精神疾患については気分障害、統合失調症、睡眠障害、認知症の四つの疾患に特化した内容となっている。これらのマニュアルは、薬局薬剤師が日常業務において活用できる実践的な指針として期待されている。
また、本マニュアルの策定に関連して、東京薬科大学薬学部の益山光一教授を研究代表者とする厚生労働科学研究において、調剤後のフォローアップ事例の収集や効果検証が実施された。さらに、日本薬剤師会が作成した「薬剤使用期間中の患者フォローアップの手引き」の改訂版も研究班により作成されている。
厚生労働省は、薬局薬剤師による調剤後のフォローアップにおいて、これらのマニュアルと手引きを併用することで、より効果的な患者支援が実現できるとしている。この取り組みにより、地域包括ケアシステムにおける薬局薬剤師の役割がさらに強化されることが期待される。
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