日本維新の会が提案する「OTC医薬品を活用したセルフメディケーションの推進」が話題となっています。
■日本維新の会 社会保険料を下げる改革案(たたき台)
https://o-ishin.jp/news/2025/02/19/16636.html
セルフメディケーションの推進としていますが、その策は「OTC類似薬の保険適用除外」です。
「高額療養費の見直し」が大きな話題となり、大きな負担こそ公費負担、軽度な疾病は自助(セルフメディケーション)にすべきと注目が集まっています。
政策の背景や今後についてはさておき、「OTC類似薬の保険外し」は現実的なのか、他人事ではない薬局はきちんと考え情報を整理する必要があります。
考えられる方向性は3つ。
1. シンプルに保険給付から外す
もっともシンプルな考えであり、「出来るか」「出来ないか」よりも、医療機関への影響が最もあり反対の声も大きいことが予想されます。また「フリーアクセス」により「まずは病院・診療所」といった国民の医療に対する考え方にも転換が求められます。
2. 薬剤種類別償還率の導入(フランス方式)
保険給付の除外とは異なりますが、OTC類似薬の取扱いについては「薬剤種類別償還率」の導入(フランス方式)が資料に出てきています。フランスでは「医療上の有用性」と「対象疾患の重篤性」に基づいて保険給付率に幅があります。
・抗がん剤等の代替性のない高額医薬品 ・・・償還率 100%
【国民連帯の観点から負担を行うべき医療上の利益の評価分類】
重要 ・・・ 償還率 65%
中程度 ・・・ 償還率 30%
軽度 ・・・ 償還率 15%
不十分 ・・・ 償還率 0%
評価方法をどうすべきかなど課題が多いい他に、健康保険法における「一部負担金」(法第74条)の条文を変える必要があります。
また、2002年改正健保法附則第2条では「将来に渡り7割給付を維持する」と定めており、薬剤種類別償還率による3割以上の負担の要請は法律を見直さないことには実現できません。
3.選定療養を利用した償還払い制度の導入
最も可能性があるのが「選定療養」への組み込みです。
選定療養とは「保険外療養費制度」であり、昨年10月から「長期収載品の選択」に関する選定療養が始まっています。
選定療養の仕組みを活用することで「処方」自体は保険診療に残すことができ、2)に挙げた「3割負担上限」問題も、「保険給付3割」+「特別な徴収(患者負担)」とすることで回避することが可能となります。
保険給付外しとは厳密には異なりますが、「医療費抑制」という目的では一致します。
すこし複雑な説明ですがイメージは理解して頂けたでしょうか?もっともらしく、私の意見のように書いていますが、こちらは懇意にしている元厚生労働省保険局局長だった方の推測です。いわば、プロが考えた方向性です。
果たして、どうなるのか。今後の議論に注目が集まります。
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