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薬局DXニュース解説

2024.08.20

GLP-1薬セマグルチドに失明リスク − 安易なダイエット目的の適応外処方に警鐘

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GLP-1受容体作動薬セマグルチドに、失明につながる可能性のある新たな副作用リスクが報告されました。米国ハーバード大学の研究グループが発表したこの最新の知見を受け、患者の安全を守るため、薬剤師は最新情報を把握し、適切な指導を行うことが求められています。

GLP-1受容体作動薬セマグルチドに、新たな重大な副作用リスクが判明しました。米国ハーバード大学の研究グループが2024年7月3日、医学誌「JAMA Ophthalmology」で発表した研究結果によると、セマグルチドの使用が非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION)のリスクを大幅に上昇させることが明らかになりました。
NAIONは視神経への血流不足によって引き起こされる疾患で、失明の重要な原因の一つです。研究では、セマグルチドの使用によりNAIONのリスクが糖尿病患者群で4.28倍、肥満または過体重患者群で7.64倍に上昇することが確認されました。

この研究結果は、セマグルチドを含むGLP-1受容体作動薬の使用に際して、新たな注意点を提示しています。セマグルチドは交感神経を活性化させ、神経の血流に影響を与える可能性があると考えられています。

セマグルチドは、糖尿病治療薬として「オゼンピック」(注射薬)や「リベルサス」(飲み薬)の一般名で、また抗肥満症治療薬として「ウゴービ」(注射薬)の一般名で処方されています。日本国内では、近年、体重減少効果を目的としオンライン診療などを活用して「メディカルダイエット」等の名称でネット上で希望者を募り自由診療で処方する美容クリニックが増加し社会問題となっています。

薬剤師の皆様には、この新たなリスクを踏まえ、より慎重な服薬指導が求められます。特に美容目的での使用を希望する患者に対しては、失明リスクを含む副作用の危険性を明確に説明し、安易な服用を控えるよう強く促す必要があります。また、自由診療でダイエット目的などの適応外処方で何らかの障害が発生した場合、因果関係がはっきりしている場合の治療は、健康保険診療が適用されず、自費扱いとなるので、その費用は大変高額になります。
服薬指導の際には、以下の点に特に注意してください

1.美容目的での使用リスクを明確に伝え、医学的必要性のない使用は避けるよう助言する。
2.視力の変化や目の異常を感じた場合は即座に受診するよう指導する。
3.定期的な眼科検診の重要性を説明し、特にリスク因子を持つ患者には強く推奨する。
4.セマグルチドの適切な使用法と、自己判断での用量変更や中止の危険性を説明する。
5.他の副作用の可能性についても十分に説明し、異常時の対処法を指導する。
薬剤師の皆様は、患者の安全を守る最前線に立つ重要な役割を担っています。この新たな副作用リスクに関する情報を適切に伝え、特に美容目的での安易な使用を抑制することが求められます。最新の医学的知見を常に把握し、患者の健康と安全を第一に考えた丁寧な服薬指導を心がけましょう。
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