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薬局DXニュース解説

2024.08.02

薬剤師の専門知識が患者の安全を守る:処方ミスの発見と是正の好事例

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医療機能評価機構が公開した事例集から、薬剤師の専門知識と情報収集能力が患者の安全を守った好事例が明らかになりました。

医療の現場において、薬剤師の役割がますます重要になっています。医師も人間である以上、処方を誤ることがあります。そこで、薬剤師がそうしたミスをカバーし、処方内容を是正する役割を担っています。
今回は医療機能評価機構が公開した好事例をいくつかご紹介しましょう。
薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業共有すべき事例
報告されたヒヤリ・ハット事例の中から、特に、広く医療安全対策に有用な情報として共有することが必要であると思われる事例を、専門家によって「共有すべき事例」として選定し、専門家からの意見「事例のポイント」を付して掲載しています。
好事例だけではなくインシデントも掲載されている。PDFになっているので、印刷して薬局内で共有しておきたい。

名称類似薬の誤処方を発見

ある薬局で、施設入所者への処方箋を初めて受け付けた際、薬剤師の鋭い観察眼が光りました。処方箋にはカルシウム補給のための「グルコン酸カルシウム水和物」が記載されていましたが、薬剤師は違和感を覚えました。
この医療機関からの処方履歴を確認したところ、「グルコン酸カルシウム水和物」の処方歴がなく、代わりに「グルコン酸カリウム」の処方頻度が高いことに気付いたのです。両薬剤は名称が類似しているため、処方間違いの可能性を疑いました。
薬剤師は直ちに患者の入所施設に確認を取り、患者の過去の処方履歴から「グルコンサンK細粒4mEq/g」(グルコン酸カリウム製剤)が処方されていたことを突き止めました。この情報を基に処方医に疑義照会を行った結果、処方内容が正しい薬剤に変更されました。

配合錠の分割に関する問題を解決

別の事例では、高血圧症治療薬の「カムシア配合錠LD『ニプロ』」の処方量が1回1錠から0.5錠に変更された際、薬剤師が重要な役割を果たしました。
この配合錠には割線がないため、薬剤師は製薬メーカーに確認を取りました。その結果、「半錠に分割した場合の有効成分の均一性は保証できない」という回答を得ました。
この情報を基に、薬剤師は処方医と相談・検討を重ね、最終的に「ブロプレス錠4」と「アムロジピン錠2.5mg」の組み合わせに変更することで、安全かつ効果的な投薬を実現しました。

薬剤師の重要性が増す医療現場

これらの事例は、薬剤師が単に薬を調剤するだけでなく、その専門知識を活かして患者の安全を守る重要な役割を果たしていることを示しています。
医療現場では、「かかりつけ薬局・薬剤師」の概念が浸透しつつあり、薬剤師には服薬情報の一元的・継続的な把握や、医療機関との連携強化などが求められています。
さらに、高齢者の多剤投与(ポリファーマシー)問題に対しても、薬剤師の役割が注目されています。厚生労働省が策定した「高齢者の医薬品適正使用の指針」においても、保険薬局のかかりつけ機能の重要性が強調されています。
このような薬剤師の取り組みが積み重なることで、「かかりつけ薬局・薬剤師」の社会的評価が高まり、ひいては診療報酬での評価にも結びつくことが期待されます。
医療の質と安全性の向上において、薬剤師の専門性と責任感が果たす役割は、今後ますます重要になっていくでしょう。
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