ウエルシア薬局、Amazonファーマシーを導入
オンライン服薬指導の新時代到来か。大手薬局チェーンのウエルシア薬局がAmazonのプラットフォームを採用し、デジタルヘルスケアの未来図を描く。処方薬のオンライン化がもたらす利便性と、巨大テック企業の医療データ取得に伴う課題に注目が集まる。
オンライン服薬指導プラットフォームとして活用へ
ウエルシア薬局株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:田中純一、以下 ウエルシア薬局)は、Amazonが提供する、薬局によるオンライン服薬指導から処方薬の配送まで利用できるサービス「Amazonファーマシー」を、2024年7月23日(火)より1,920の店舗に導入しました。
ウエルシア薬局株式会社は7月23日、Amazonが提供するオンライン服薬指導から処方薬の配送まで利用できるサービス「Amazonファーマシー」を1,920店舗に導入したと発表した。このサービスにより、患者はAmazonショッピングアプリを通じて薬剤師によるオンライン服薬指導を受け、処方薬を自宅に配送してもらうか、薬局店舗で受け取ることができる。
Amazonファーマシーの利用には、電子処方箋に対応した医療機関での診療またはオンライン診療による処方箋の取得が必要となる。患者は電子処方箋の内容をアプリにアップロードし、希望の薬局を選択してオンライン服薬指導の予約を行う。
ウエルシア薬局は今後、IoTデバイスから得られる個人の健康記録(PHR)も含めた総合的なヘルスケアプラットフォームの構築を目指している。オンラインと対面での服薬指導を組み合わせ、ICTを活用した対人業務の強化を進めていく方針としており、この取り組みを通じて顧客の利便性向上と新規顧客の獲得を目指している。同社は2030年までに「地域No.1の健康ステーション」となることを目標に掲げており、Amazonファーマシーの導入はその実現に向けた重要な一歩と位置付けている。
Amazonファーマシーは、来たるべきAmazonの調剤事業参入に向けた布石なのか?
米国ではAmazon自身がオンライン薬局「Amazon Pharmacy」運営しており、ドローンでの配送など意欲的な取り組みも伝えられている。また、あまり知られていない事実として、日本でもAmazon薬局のリアル店舗が東京と大阪に存在している。これは医薬品のネット販売は薬機法で「実店舗を持っていること」と規定されているためだ。またスタッフとして50名近い薬剤師や登録販売者も雇用しており、その本気度がうかがえる。筆者はいずれ米国と同じようにAmazon自身が調剤事業を行うのは時間の問題ではないか?と考えていた。
ところが今回の発表は薬局チェーンと連携するという方針をとった。そしてオンライン服薬指導と物流プラットフォームを担うという、どちらかというと裏方に徹する方針としたのは少し意外だった。一方で、Amazonが患者の処方情報を取得できることについて、業界内では懸念の声も上がっている。Amazonが将来的にこのデータを活用し、何らかの事業に応用する可能性があるためだ。すぐに思いつくのは処方情報を基に関連商品のレコメンデーションを行ったり、医療サービスの開発に利用したりする可能性が指摘されている。
医療のデジタル化が進む中、オンライン診療からのオンライン服薬指導の需要は今後さらに高まると予想される。今回のAmazonファーマシーは、来たるべきAmazonの調剤事業参入に向けた布石なのか?、医療Tech分野における新たな動きとして注目を集めている。