従来からのアルコール依存症の治療目標は、お酒をやめる「断酒」が中心であり、一般的にはまだまだこのイメージが強い。
したがって、「断酒」への抵抗感から、アルコール依存症の方が治療を避けてしまうことが問題となっており、現在も介入が難しいと筆者は感じています。
このような背景もあって、新たな選択肢である減酒(飲酒量低減)を目標とした治療が欧米で提唱され、日本においても関連諸学会から飲酒量低減治療マニュアルが2019年に公開されています。
日本で最も身近な依存症の原因物質であるアルコールについて、販売方法(24時間コンビニで買えてしまう点など)や規制について考え直す必要があると常々考えています。それは超高齢化社会にある日本において、その閉塞感からアルコール依存症になる方が多いが、専門の治療をおこなっている医療機関につながっているケースは稀だからです。
またアルコール依存症の患者さんへの介入を継続的に行うことは難しく、本人だけではなく周囲の人々にも多大な影響を与えます。
こうした背景を考えると「減酒治療アプリ」が新たな治療の選択肢に加わることはこの領域において朗報であると捉えています。
また、2024年中に厚労省より「飲酒ガイドライン」が正式に公開される予定ですので、医療・介護従事者はもちろん、国民のアルコール依存症への理解につながることを期待しています。
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