潜在患者100万人のアルコール依存症、非専門医も減酒治療アプリで対応可能に
記事では、アルコール依存症患者に対する専門医療機関が少ないこともあり、多くの患者はかかりつけ医で受療したいと書かれている。
すなわち、医療提供体制と患者ニーズのミスマッチが起こっているというのである。このミスマッチを解消するには、一般内科のような非専門医療機関でもアルコール依存症を治療する仕組みが必要なのである。
このような仕組みを構築するには、医師側の負担が少なく、効果が担保されている医療供給システムが必要となる。
そこに目を付けたのがCureApp社であり、同社が開発している減酒治療アプリの活用により実現しようとしているのである。
減酒治療アプリ(以下、アプリ)では、患者の行動変容を促す「認知行動療法」を提供する。
アプリの対象患者は、アルコール依存症の患者のうち、飲酒量の低減を治療目標にできる患者である。
断酒を治療目標とし、入院が必要な場合もある重症患者はアプリの対象から除外され、専門医療機関が治療を担うことになる。
患者はアプリを使いながら日常生活を送り、4週間に1回程度の診療を受ける。アプリで入力したデータはクラウド上に保存され、医師側でも確認できるため、個別化された詳細な情報を得られるので、効果的な診療を行えるという仕組みである。
治療は基本的に24週間を想定し、患者は定期的な診療の間に治療アプリを使い続ける。患者にとっては、診療時だけでなく毎日、飲酒に関するアドバイスを受けられるので取り組みを継続しやすいというメリットがある。
この記事にある通り、アルコール依存症患者の専門医療機関へのアクセスのハードルは高いと筆者も感じている。もし、かかりつけ医で効果的なアルコール依存症の治療を受けることができるのであれば、社会的意義は大きいと考えている。
そして、この減酒治療アプリが普及し、一般診療を行っているかかりつけ医でのアルコール依存症の治療が進むのであれば、地域薬局の薬剤師が介入する場面も増えることが期待できる。
アルコール依存症に使われる断酒補助剤なども種類が増えており、医師とは異なる視点からのアドバイスができるものと期待できる。
地域医療に携わっていると、アルコール依存症患者へのアドバイスを求められることが多い。
医師はもちろんであるが、薬剤師をはじめ様々な職種の皆さんにもこの減酒治療アプリへの理解を深めて効果的な介入を推進してほしい。
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