【薬局DX元年】
2023年は医療DX、薬局DXということで、薬局業界内でもオンライン資格確認や電子処方箋、オンライン服薬指導、生成AIの活用といった言葉だけではなく、PHARMACY DX NEWSで紹介されたようなHOT!なニュースの数々が業界内を飛び交ったが、1月26日から本格的に電子処方箋の運用が始まったことは、未だその普及は十分ではないものの、象徴的な意味合いを込めて2023年は医薬分業の歴史上本格的な薬局DX元年としてその歴史に刻まれる年になるのではないだろうか。
【変化の時】
この数年にわたって議論が続いていた緊急避妊薬OTC化が、様々な意見がある中、11月から一部の薬局で試験販売が始まったことも、薬局での提供サービスの拡大といった意味以上に大きなものがあると思うが、一方で零売についてはこの流れとは逆行するような形で、行政側は零売専門薬局への対応であるとしてはいるものの、事実上零売の販売規制が強化される方向に追い込まれてしまうのではないかと危惧される。
ただ一方では、薬局の活躍が期待出来るかもしれないが、何も動かないとスルーされてしまうかもしれない新しい領域として、PHRの利活用による新たな健康支援サービス開発、SaMD(プログラム医療機器)の開発、保険適用、そして非侵襲型経鼻弱毒生インフルエンザワクチン「フルミスト点鼻液」の承認といったこともあった。薬局がそのような新しい領域でイニシアティブを取れるか否かは、業界の今後に向けて大きな希望であると同時に大変重要な課題にもなるのではないかと思う。
一方医薬品に目を向けると、ここ数年来の医薬品供給問題は、その問題が製造元である製薬メーカーだけではなく、医薬品供給責任という側面から薬局にも及び、今や国家的問題にまで発展してしまっただけではなく、有識者検討会等ではドラッグラグ、ロス問題、安定供給の観点から薬局の薬価差益の問題にもメスが入り、また薬剤の自己負担にまで議論が展開してきて、正に大混乱といった様相を呈してきた。このような状況に陥ってしまった以上、国はこの問題解決のために、いよいよ大英断を下さねばならない時が来たのではないか。
【業界プレーヤーの構成変化が起こるか】
そして昨年は特に敷地内薬局の不正入札問題が大きなニュースになって業界内に激震が走ったこともあり、11月23日に出された「調剤について(その3)」においては、敷地内薬局の実情、問題点が大きく示され、厳しい対応が打ち出されたり、また一方では投資ファンドや商社による大手薬局の買収報道も多く目にとまり、業界プレーヤーの構成が変化し始めたという点も見逃せなくなってきた。
これから地域薬局は薬局の業界地図も変わっていきそうな時代の変化の中で、「対地域」へと活動の領域を拡大していく必要があり、独立薬局が地域で継続して残り続けていくためにも、地域薬局が連携し、ガバナンスの効いた薬局ネットワークを再構築させることが喫緊の課題だと実感した一年であったが、引き続き2024年もPHARMACY DX NEWSで業界の動きを新たな視点で掘り下げていきたいと思う。
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