米大手ドラッグストア倒産　必須なのはデジタルサービスではなく改革

米ドラッグストア大手のライトエイド（Rite Aid）が破産申請したことを受けて分析した記事。
・ライトエイドは米国のドラッグストアの中でもコロナ後のサービス多様化のトレンドでもっとも遅れていた。
・ライトエイドは医薬品eコマースの能力向上を目指しているが、Amazon傘下のピルパック（Pillpack）やカプセル（Capsule）などの新興医薬品eコマースサイトや、さらにCVSとウォルグリーンとも競合することになるため、さらにeコマース体験を拡大しなければ競争に勝てない
…との見方をしているが。

リサーチブリーフィング：ライトエイドの倒産とデジタルの未来
via リサーチブリーフィング：ライトエイドの倒産とデジタルの未来 | DIGIDAY［日本版］

ライトエイド倒産がデジタルサービスの遅れというように受け取られる記事ですが、BOPISなど基本的なデジタルサービスの提供はしていましたので的外れに感じます。
Rite Aid社の破産は、特にオピオイド訴訟や負債の増加、売上の減少など、複数の要因によるものです。

オピオイド訴訟は、薬局チェーンが処方薬の取扱いにおいて法的責任を負うことを示しています。薬剤師の役割において、患者の安全と健康を最優先に考える必要があるということでもあります。

CVSとWalgreenは、小売薬局の売上高でRite Aidの6倍以上、店舗面積でRite Aidの4倍です。必然的に資本力と多様性に優れ、金融と非金融面でより大きなリソースを活用できています。
CVSやWalgreensなどの競合他社は、ヘルスケアサービスへの投資を通じて市場での地位を強化しています。これは、競争力を維持するためには、単に薬の販売だけでなく、包括的なヘルスケアサービスの提供が重要であることを示しており、日本の薬局の参考になります。

最後に、負債の増加と売上の減少は、企業の持続可能性に直接影響を与えます。適切な財務管理とリスク管理は長期的な成功に不可欠です。事業経営にはBS思考が欠かせません。

writer profile

郡司昇

店舗のICT活用研究所　代表／小売DX合同会社　代表社員
全体最適、DXに関して悩みがある企業のお手伝いをして、その先にある顧客体験を向上することが私の仕事です。小売のICT活用およびIT企業の小売理解をお手伝いしています。

【略歴】
1992年昭和大学薬学部薬学科卒業。薬剤師。
1999年株式会社ランド設立代表取締役社長としてドラッグストア経営。
2007～2018年株式会社ココカラファインで調剤事業部兼業務監査室課長の後、M＆Aに伴う店舗オペレーション、システム、物流等の幅広い統合プロジェクトに参画。ドラッグストア・保険調剤薬局の販社統合業務を完遂。その後、EC事業会社代表取締役社長として事業黒字化。同時にオムニチャネルの重要性を認識したことで、グループ全体の統合マーケティング部長として、グループ統合マーケティング戦略を立案し実行責任者を兼任。
2018年～現職

【兼職】
一般社団法人　日本オムニチャネル協会　小売CX部会リーダー
一般社団法人　日本データマネジメント・コンソーシアム（JDMC）研究員・カンファレンス実行委員
R×R Innovation Initiative株式会社 Subject Matter Expert　等

【著書】
小売業の本質　Amazon KDP
知識ゼロから育てる「事業責任者」のためのEC塾（ECzine Digital First）
【連載】
ダイヤモンド・ドラッグストア/MD -NEXT /ダイヤモンド・チェーンストア・オンライン/Agenda note等

https://ngunji.com/ https://agenda-note.com/member/?id=2881 https://www.amazon.co.jp/dp/B09K5SY7QC/ref=cm_sw_r_tw_dp_132P9K4HYRRTBT6D12CJ

comments

コメントはまだありません

すべてのコメントを見る (0) コメントを書く

【アマゾン】「デジタル→対面」に大転換！その真意とは？

薬局DXニュース解説

2023.06.05

高齢者のケアでは、近隣の医療機関の重要性が増す〜米CVSヘルス

薬局DXニュース解説

2023.05.24

米大手ドラッグストア倒産 必須なのはデジタルサービスではなく改革

writer profile

comments

RELATED

米大手ドラッグストア倒産　必須なのはデジタルサービスではなく改革