先発薬の自己負担引き上げ 厚労省、後発薬への移行促す
日本経済新聞の記事より
厚生労働省の諮問機関である社会保障審議会の医療保険部会は、先発薬から後発薬への移行を促し、医療費の伸びを抑制するために、患者が先発薬(長期収載品)を選択した場合、患者負担分に後発薬との差額の一部を上乗せする案をまとめ、法改正が不要な選定療養(※)の仕組みを活用して2024年以降の実施を目指すという記事だ。
長期収載品はおよそ10兆円の薬剤費のうち1.9兆円と全体の2割ほどを占め、後発薬の使用を促すことで100億円規模の財源を捻出できるということだが、一方で、まだ2割ほどあると言われている長期収載品の売上比率が全体の50%以上を占める企業にとっては死活問題となるが、既に国から言い渡されていた政策でもあるのでいよいよタイムリミットが来たということでもある。
記事では後発薬の2割超が限定出荷や供給停止となっている厳しい実情にも触れてはいるが、医薬品の安定供給が喫緊の重要課題となっている今行うべき政策ではないのではないと思う。
逆に今打ち出すのであれば、今こそ先発薬(長期収載品)という分類を無くして後発薬の薬価と同一にすべきではないか(特許が切れたらジェネリックに分類)。そうすれば期待される財源の捻出が実現でき、患者に一部を負担させることによる余計なノイズの心配もなくなり、また薬局の余計な手間も省け、現実的な解決策になるのではないか。
またそのようにルール改定を行うことで、今後誕生する新たな後発薬は、事実上それまで先発薬だったものがそのまま後発薬になるので、安定供給、品質の確保という意味からも、結果的に少量多品目という問題を抱えていた業界の産業構造の見直しにも繋がっていくものと考えられる。
※選定療養とは、厚生労働大臣が定める患者の快適性・利便性に関する療養、医療機関や医療行為等の選択に関する療養をいい、健康保険等からは給付されない。
comments