骨太方針2023を受けて医療保険部会で議論
薬剤自己負担引き上げ策、厚労省が4案
薬剤自己負担引き上げ策、厚労省が4案
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/202310/581420.html
DI Online さんの記事からです。
私は既に不可避の状況だと思っています。
薬剤費の自己負担の見直しについては、薬物治療患者が増える超高齢社会において当然避けては通れない重要課題でしょうし、保険負担の範囲も素人目にみても広すぎるなど、残薬やポリファーマシーも含めて問題山積ですから。
しかし、それ以上に以前から個人的に思っている「不公平感」が、薬剤費の自己負担というスキームにはずっと潜んでいるからという側面の方が、より強いのです。
それは「自己負担割合が疾患別になっていない」こと。
なぜこれが「不公平」か。
疾患には色々な軸があります。
例えば、「急性期」⇔「慢性期」といったフェーズの視点とか、「重篤・重症」⇔「軽症」という程度の観点があたると思います。これらの他に、「先天的」⇔「後天的(或いは生活習慣由来)」という軸もあります。対象疾患がこれらの軸のどこに位置するか?が考慮されていないことが「不公平」なのです。
たとえば、最後の「先天的」⇔「後天的(生活習慣由来)」の軸。
すなわち、患者本人が生活の中における選択の積み重ねが、どの程度、当該疾患に影響を与えているのか?の観点です。このことを考えれば、「薬剤費の自己負担割合」に格差を設けて然るべきであることは必然です。
要するに「自責が占める構成比率」の違い、です。
枝葉末節は排したとして、当然、「先天的」な疾患は自責0%なわけで、薬剤費も治療費も自己負担割合を極限に小さくしてあげるべき。その原資はもちろん、「後天的(生活習慣由来)」の治療における薬剤費・医療費の自己負担割合を上げることで賄えます。
「重篤・重症」⇔「軽症」など、ほかの軸についても当然、自己負担割合には格差を検討するべきで、逆にそれこそが「公平」なはずなのです。
きっと薬剤でいうと、「代替市販薬の有無」で格差をつける、あるいは薬価収載自体を見直すべきケースも出てくるはず。ひょっとすれば、これだけで無駄な?薬剤費の保険負担は減じるかもしれない(さして臨床上のベネフィットに悪影響を与えず)。
一律「自己負担30%」といった「悪平等」こそ、解消すべき根源ではないかと思います。
こうした事は、かつて財務省の然るべき方たちにも提案したことがあります。色々、現状ではハードルが高いような回答を得た記憶がありますけれども、本来、国のかじ取りを行う立場であれば、この「公平感」の制度設計から逃げることは許されないでしょう。
今回出てきた厚労省からの4案。
ひとつひとつご覧になって、この国のカタチをどう設計すべきか?に思いを馳せることは、無駄にはならないのではないでしょうか。
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