1月23日に次期報酬改定に向けた「短冊」が公表され、その読み込みが進められています。まだ不明確な部分が多く、2月中旬に公表される「答申」を見ないことには改定の影響も予想しずらいという印象です。今回は2030年までに構築すると言われている医療DXに対しどのような意味を持つ改定となったのか。診療報酬上の変化も含めてみていきたいと思います。
調剤における医療DXの変化
医療DXを推進するために新設された「医療DX推進体制整備加算」は医科・調剤共に見直しとなりました。調剤報酬は「電子的調剤情報連携体制整備加算」です。加算は3区分から1区分になります。
現在の医療DX推進体制整備加算の算定要件を多く引き継ぐ報酬になりますが、加算区分が1区分となることで、段階的に求められている「マイナ保険証利用率」も●%とひとつになりそうです。
経過措置が付いたまま見直しとなる「電子カルテ情報共有サービス」については、当初短冊では「令和9年5月31日までにの間に限り、当該基準を満たしていものとする」としていましたが、短冊に対する中医協の議論「個別改定項目その3」の議論で修正となり「当面の間、当該基準を満たしているものとみなす」と、実質無期限延長となっています。
医科における医療DXの変化
同様に、診療報酬の変化を見ていきます。医科では「電子的診療情報連携体制加算」と名称が変わります。加算区分は1~3の3区分です。
加算1は「オンライン資格確認」「電子処方箋システム」「電子カルテ」「マイナ保険証持参率」などの要件を満たしている保険医療機関が算定できるとしています。
加算2は「オンライン資格確認」「マイナ保険証持参率」などの要件に加え「電子カルテ」または「電子処方箋システム」を導入していることとしています。
加算3は「オンライン資格確認」「マイナ保険証持参率」の要件をクリアしてていれば可能となっています。
※細かな要件は他にも設定されています。
率直な感想としては、電子処方箋システムや電子カルテシステムの100%導入というビジョンに対し、非常に消極的な改定のように感じます。
地域包括診療料及び加算の要件に電子処方箋システムを追加
医科のかかりつけ医の報酬といわれる「地域包括診療料」及び「加算」の要件に処方薬の把握する手段の一つとして、「電子処方箋システムの活用」が明記されました。
地域包括診療料(加算)を算定する医療機関では電子処方箋システムの導入が求められるものかと思いますが、残念ながら地域包括診療料(加算)は求められる要件が高いこともあり、診療所ではハードルが低い「特定疾患療養管理料」「生活習慣病管理料」を算定しているのが現状です、
オンライン診療「向精神薬処方」には電子処方箋システム活用
「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の順守に向けた見直しとして、情報通信機器を用いた診療において向精神薬を処方する際には、「電子処方箋管理サービスによる重複チェックを行うこと。」と追加しています。
しかし、「ただし」という経過措置がついており、「電子処方箋システムを有していない場合には、令和10年5月31日までの間に限り、オンライン資格確認等システム又は医療機関間で電子的に医療情報を共有するネットワークのいずれかを用いて薬剤情報を確認することととして差し支えない」としています。
後者について何を指しているのかわかりませんが、現時点でオンライン資格確認システムは療養担当規則上の義務となっていますので、オンライン資格確認システムの条件が採用されると考えます。令和10年5月末・・・実質次回改定までの経過措置です。
オンライン診療において電子処方箋活用加算が新設
情報通信機器を用いた診療の際に電子処方箋を発行した場合に「遠隔電子処方箋活用加算」が新設されました。ポイントとして電子処方箋システムの活用により「最新の薬剤情報の確認・重複投薬等のチェック」を行うことが目的ですが、加算を算定するには「電子処方箋を発行しなけければいけない」という点です。
オンライン診療の母数が少なく、現状が把握できる行政データもあまりない状況ですが、今後オンライン診療では電子処方箋発行が原則となりそうです。
医療DX達成までの道のりは厳しいものである
個々の医療機関、薬局等におけるDX化はさておき、国が2030年までに目指す医療DXへの道は非常に厳しい状況といえます。残された改定は2026年・2028年の2回という中で、電子処方箋システム導入の普及に向けた策は講じられず、電子カルテ情報共有サービスにいたっては、運用開始のめどが立っていないという状況です。
目指すべき2030年に向けた、臨時改定を含みながら急ピッチで進めていくのか、それとも2028年度改定で大改革をするのか、絵に描いた餅でおわるのか。引きつづき行政の動きをウォッチしていくことが必要です。
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