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薬局DXニュース解説

2024.12.27

地域医療のデジタル化加速 特定オンライン診療受診施設制度が始動へ 規制改革案を発表

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政府は26日、地域医療のデジタル化を加速させるため、オンライン診療に関する大規模な規制改革案を発表した。現行の医事法制にオンライン診療を明確に位置づけ、特定オンライン診療受診施設の新設や診療補助行為の拡充など、包括的な制度改革を実施する。全国一律の規制から地域の実情に応じた柔軟な運用へと転換を図ることで、医師不足地域や高齢化の進む地域における医療アクセスの改善を目指す。

看護師常駐で処置も可能に、駅・郵便局にも医療拠点

石破首相が言及した医療データの利活用による創薬加速化と地域でのオンライン診療の円滑化に関して、規制改革推進会議が重要な中間答申を発表した。現在の医療体制が直面している課題として、膨大な医療データの活用が複雑な規制により阻害されている点や、地域ごとの医療ニーズの変化に全国一律の規制が対応できていない状況が指摘されている。

規制改革推進会議は、令和6年度から7年度にかけて段階的に実施される新たな施策を提示した。特に注目すべき点として、オンライン診療専用車両等の活用円滑化が挙げられる。現行の医事法制において、診療の回数・場所の制限や事前届出等の手続き負担が存在していた問題に対し、医療法にオンライン診療の総体的な規定を新たに設けることで解決を図る。

具体的な制度改革として、医療法にオンライン診療の定義から実施基準まで包括的な規定を導入する。特筆すべき点として、特定オンライン診療受診施設における看護師等による診療の補助行為の実施可否について検討が行われる。これにより、特に離島や山間地などの医療アクセスが限られた地域での医療提供体制の改善が期待される。
特定オンライン診療受診施設とは
特定オンライン診療受診施設は、医療機関以外の場所でオンライン診療を受診できる新たな施設区分として制度化される。この施設では、プライバシー保護、衛生管理、情報セキュリティを含む良好な通信環境の確保等の必要最低限の要件を満たすことが求められる。
重要な特徴として、施設の開設者や運営者は医療機関や医療従事者である必要はない。オンライン診療の実施責任は診療を行う医療機関の医師が負い、施設側は受診場所の提供と管理を担う。
運営面では柔軟性が高く、運営者の常駐は不要で遠隔での管理が可能となる。また、複数施設の兼務も認められる方向で検討が進んでいる。看護師等がいる場合は、医師の指示による診療の補助行為(D to P with N)の実施も可能となる見込みだ。
想定される設置場所として、職場、介護事業所、学校、公民館、郵便局、駅構内などが挙げられており、地域の実情に応じた柔軟な医療アクセスの確保が期待される。
さらに、届出手続きの簡素化も進められる。特定オンライン診療受診施設の届出事項は必要最低限のものとし、全国一律の標準様式を導入することで、不適切なローカルルールを防止し、事務手続きの負担軽減を図る。また、施設の運営者については、遠隔での運営・管理を可能とし、複数施設の兼務も認める方向で検討が進められている。

診療報酬面では、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料やオンラインでの栄養食事指導など、現行の算定要件の見直しも検討される。これらの要件が、オンライン診療の特性を活かした活用の妨げとなっているとの指摘を踏まえたものである。

厚生労働省は、これらの制度改革の実効性を高めるため、全国での実施事例を収集・分析し、診療所、自宅、職場、介護事業所、学校などの場所の類型ごとに適した活用方法を具体的に示していく方針だ。この包括的な取り組みにより、患者中心の医療提供体制の実現が期待される。
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