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薬局DXニュース解説

2024.12.26

Meiji Seika ファルマ、原口議員を名誉棄損で提訴 - コロナワクチンめぐる誹謗中傷で損害賠償請求

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Meiji Seika ファルマは25日、立憲民主党の原口一博衆院議員を名誉棄損で提訴した。同社の新型コロナワクチン「コスタイベ」を「生物兵器」と呼び、企業を「731部隊」になぞらえた一連の発言が違法な誹謗中傷にあたるとして、最大55億円超の損害が発生したと主張。民間企業による現職国会議員への名誉棄損提訴という前代未聞の法的措置に、政界に衝撃が走っている。同社の小林大吉郎社長は「国会議員としての影響力を持ちながら、科学的根拠のない誹謗中傷を繰り返し、もはや看過できない」と会見で語気を強めた。

Meiji Seika ファルマは2024年12月25日、立憲民主党の原口一博衆院議員を名誉棄損で東京地裁に提訴したことを発表した。同社が開発した次世代mRNAワクチン「コスタイベ」について、原口議員がSNSなどで「生物兵器」「3発目の原爆」と表現し、同社を「731部隊」と繰り返し誹謗中傷したことが提訴の理由である。

Meiji Seika ファルマの小林大吉郎代表取締役社長は記者会見において、コスタイベは適法な承認プロセスを経て承認を取得した正当なワクチンであると強調した。社長は、国会議員である原口氏が承認プロセスを十分理解できる立場にありながら、不当な誹謗中傷を続けていることは看過できないと述べている。

提訴に至った背景には、これらの誹謗中傷により新型コロナワクチンの接種率低下を招いているという懸念がある。さらに、医療従事者や同社社員の業務遂行に支障が生じ、精神的な打撃を与えているという深刻な影響も指摘されている。
国会議員が反ワクチンや陰謀論に傾倒するのはなぜ危険なのか?
国会議員による反ワクチンや陰謀論的な言説の拡散は、その社会的影響力の大きさから、複数の深刻な問題を引き起こす可能性がある。
第一に、国会議員は立法府の一員として医療政策や公衆衛生施策に直接関与する立場にある。科学的根拠を無視した判断や発言は、エビデンスに基づく政策立案プロセスを歪める恐れがある。
第二に、政治家という公的な立場からの発言は、一般市民の健康や生命に関わる意思決定に大きな影響を及ぼす。特にSNSでの情報拡散力を考慮すると、誤った情報が急速に広がり、ワクチン接種率の低下などを通じて公衆衛生上の実害をもたらす可能性が高い。
さらに、医療専門家や研究者との信頼関係を損なう点も看過できない。科学的な議論の場に陰謀論を持ち込むことで、専門家と政策立案者との建設的な対話が困難になり、結果として効果的な感染症対策の実施を妨げることになりかねない。
このように、議員による反科学的な言説の影響は、単なる個人の見解の表明を超えて、社会全体の公衆衛生体制に深刻な打撃を与える可能性があることを認識する必要がある。
特筆すべきは、民間企業が現職の国会議員を名誉棄損で提訴する極めて異例のケースであることだ。Meiji Seika側の弁護団は、損害額は最大で55億7120万円に上ると試算しているが、今回はその一部として1000万円の賠償を請求している。

この事態を受け、立憲民主党の対応も厳しく問われている。公衆衛生に重大な影響を及ぼしかねない誤った情報を、所属議員が拡散し続けているにもかかわらず、党として適切な対応を取ってこなかったことは重大な問題である。科学的根拠に基づく公衆衛生政策の推進を掲げる政党として、速やかに党としての見解を示し、是正措置を講じるべきである。

本件は、政治家による科学的根拠を欠く発言が公衆衛生に与える影響について、重要な問題提起となっている。今後の司法判断と、立憲民主党の対応が注目される。
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