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薬局DXニュース解説

2024.10.25

権力者による非科学的言説の危険性 - ワクチン報道から見える現代の課題

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医薬品開発において科学的根拠に基づかない言説が政治家から発せられる事態が深刻化している。Meiji Seika ファルマは2024年10月24日、次世代型mRNAワクチン「コスタイベ」に関する非科学的な主張を行った原口一博前衆院議員を名誉棄損で提訴する方針を明らかにした。

この事態は、科学的知見を軽視した政治的言説が公衆衛生に及ぼす影響について、重要な警鐘を鳴らしている。歴史を振り返れば、1950年代のハンセン病問題において、当時の政治家たちが科学的根拠なく患者の隔離政策を推進し、多くの人々の人権が著しく侵害された事例がある。この教訓は、権力者による非科学的な主張が社会に及ぼす影響の重大さを示している。

本件では、原口氏が選挙運動用ビラや選挙公報において、レプリコン型ワクチンであるコスタイベを「未知のワクチン」と形容し、日本人が「モルモットにされている」と主張した。これに対しMeiji Seika ファルマは、コスタイベが約1万8000人規模の臨床試験を経て、PMDAによる厳格な審査プロセスを通過し承認されたことを説明している。

また、日本感染症学会をはじめとする専門学会は、ワクチンの安全性について科学的見解を示している。にもかかわらず、一部の医療機関では接種予約開始後に嫌がらせを受けるなど、非科学的言説の影響による社会的混乱が生じている。
日本感染症学会、日本呼吸器学会、日本ワクチン学会の3団体は17日付で、高齢者へのコロナワクチン接種を強く推奨する見解を発表しました。

特に重要な点として、レプリコンタイプのワクチンについて、接種者から周囲の人への感染(シェディング)の心配は一切ないことが明確に示されました。

専門家らは、高齢者の感染による以下のリスクを指摘しています:
・インフルエンザ以上の重症化・死亡リスク
・10%以上で3か月超の長期症状が持続
・心血管疾患や呼吸器疾患のリスク上昇

現在、5種類の接種可能なワクチンが用意されており、今冬も大きな流行が予想されることから、特に高齢者への積極的な接種を推奨しています。
この専門家見解は、最新の科学的知見に基づいており、特にレプリコン型ワクチンの安全性について、社会に広がる懸念を明確に否定するものとなっています。
このような状況は、1948年の優生保護法制定時にも見られた。当時も科学的根拠に乏しい優生思想が政治的に利用され、多くの人々が不当な差別を受けた。現代において、科学的知見を無視した政治的言説が再び社会の分断を生むことは、看過できない問題である。

専門家からは、政治家による非科学的な主張が公衆衛生施策を阻害する可能性について、強い懸念が示されている。Meiji Seika ファルマの小林大吉郎社長は、このような言説が「我が国の公衆衛生上の脅威になる」と警鐘を鳴らしている。
今回の提訴は、科学的根拠に基づく医療政策の重要性を改めて問いかけるものとなっている。過去の歴史的教訓を踏まえれば、政治家には科学的知見を尊重し、責任ある発言が求められることを示唆している。

医療技術の進歩と共に、科学的根拠に基づく政策決定の重要性は一層高まっている。今後は、政治と科学のあるべき関係性について、より建設的な議論が必要とされている。
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