2024年10月から始まる「長期収載品の選定療養」制度では、患者が医療上の必要性なく先発医薬品を希望した場合、通常の自己負担金に加えて「特別の料金」を徴収することになります。この制度の核心は、ジェネリック医薬品の使用をさらに促進することにあります。
対象となるのは、後発医薬品が存在する先発医薬品(長期収載品)です。患者が使用感や味といった嗜好的な理由で先発医薬品を選択した場合、先発品と後発品の価格差の4分の1相当額が「特別の料金」として加算されます。
具体的な計算例を見てみましょう。1錠100円の先発医薬品に対して、後発医薬品が60円の場合、その差額40円の4分の1、つまり10円が特別の料金となります。ただし、この金額に消費税が上乗せされる点にご注意ください。また、複数の後発医薬品が存在する場合は、同種の最も高額な後発品との価格差で計算されるため、仮に自店舗での採用薬でない場合でも最も高額な後発品で計算されるため、料金計算がやや複雑になります。
薬局での実務においては、レジやPOSシステムの更新など、新制度に対応するための準備が必要になるでしょう。特に、特別の料金の計算や消費税の適切な処理、そして患者への丁寧な説明が求められます。
一方で、全ての長期収載品に特別の料金が発生するわけではありません。医師が医療上の必要性を認めた場合や、後発医薬品の在庫がない場合などは例外とされています。そのため、処方箋の「変更不可」欄や「患者希望」欄のチェック状況を確認し、適切に対応することが重要です。
新制度の開始まで、残り時間は僅かです。患者への説明資料の準備や、スタッフ間での情報共有、そして必要なシステム更新を進め、円滑な制度移行に備えましょう。薬剤師の皆様の専門知識と丁寧な対応が、この新制度の成功の鍵を握っています。
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