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薬局DXニュース解説

2024.09.03

MITがエルゼビア社との契約を打ち切る

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米国マサチューセッツ工科大学(MIT)が、大手学術出版社エルゼビア社との契約を打ち切った。この決断は、学術界と出版社の関係に大きな一石を投じている。

学術出版社の役割が変化した

多くの医療者は学生時代、学術出版社に掲載される学術論文を読んだり中には著者として論文を発表したりした経験があることでしょう。かつての学術出版社は、次のような役割を果たしていました

1.研究者同士を結びつけた
2.新しい知識の創出を促した
3.最新の研究成果を世界中の図書館に届けた

しかし、デジタル化が進んだ現在、学術出版社の姿は大きく変わりました。

MITのクリス・バーグ図書館長は、次のように述べています:
「企業がMITの研究成果を独占し、それに多額の費用を支払うことは、本学のオープンな教育・研究の方針と矛盾します」
つまり、学術出版社は今や「権利ビジネス」を行う企業へと変貌したと言っています。

MITは契約更新を拒否した

MITは2020年、エルゼビア社との契約更新を拒否。約675タイトルのジャーナル購読を全て打ち切った。この決断により、MITは年間約200万ドル(約3億円)のコスト削減に成功。それでいて、研究者が必要とする論文の92%を1分以内、97%を1時間以内に入手できる体制を整えた。

オープンアクセスが重要になっている

MITの決断は、学術界全体にオープンアクセスの重要性を再認識させました。
MITは次の行動をとりました:

1.「出版社との契約に関する枠組み」を独自に策定した
2.著作権の保持を契約の条件とした
3.オープンアクセスの推進を契約の条件とした

日本の学術界への示唆

学生時代は論文は読み放題だったのは大学が購読契約をしていたから。卒業後、論文を読みたいと思っていても、その購読料が非常に高額なのに驚かれた方も多いだろう。MITと同様に日本の大学や研究機関も、高額な購読料に悩んでいます。とは言え、業界トップのエルゼビア社と契約を打ち切るのは代替となる学術出版社が無いだけになかなか難しい決断です。ですがMITの決断は、学術界全体にオープンアクセスの重要性を再認識させた。MITは独自の「出版社との契約に関する枠組み」を策定し、著作権の保持やオープンアクセスの推進を契約の条件としたことで、対等な関係を築いている。

日本の学術界も以下の行動を取るべきではないか?
1.オープンアクセスを推進する
2.出版社との新たな関係を構築する
3.より開かれた学術コミュニケーションを実現する

今後、日本の学術界も、オープンアクセスの推進と、出版社との新たな関係構築を模索する必要があるだろう。研究者、図書館、そして出版社が協力し、より開かれた学術コミュニケーションの実現を目指すことが求められている。
MITの首脳陣は、最大の学術誌契約を更新しなかった経験を、圧倒的にポジティブなものだったと述べている。MITは長い間、大口契約によるベンダーの囲い込みを避けようとし、2019年には約675タイトルのエルゼビア誌の個別タイトルごとの購読を維持してきた。2020年には、エルゼビアのジャーナル契約全タイトル(675タイトルすべて)を解約するという重要なステップを踏み、利用者は2020年以前のバックファイルコンテンツのみに即時アクセスできるようになった。解約以来、MIT図書館は年間経費を当初の80%以上節約できたと見積もっています。この措置により、MITは毎年約200万ドルを節約し、図書館は、ほとんどの論文リクエストに数分で応える代替アクセス手段を提供しています。
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