1.個人情報を含むメール内容などは監視対象外
2.重要インフラ事業者へのサイバー攻撃報告義務化
3.外国関連通信の重要性を指摘
4.メタ情報の適切な保護
5.通信の秘密に関する合理的な制約の可能性
しかし、個人のコミュニケーションを監視対象外とする方針には、現代のサイバー攻撃の実態を踏まえると課題があります。例えば個人の機器に悪意あるソフトウェア(マルウェア)が侵入し、自分のPCが知らぬ間にボットネットワークに組み込まれるケースなど、個人が認識していない攻撃が発生する可能性があります。このような状況下では、何を「個人のコミュニケーション」と見なすべきかの判断が非常に難しくなります。
ボットネットワークとは、マルウェアに感染したデバイスが攻撃者の指示で連携して動作するネットワークです。主にDDoS攻撃やスパムメール送信に利用され、感染デバイスは通常動作を維持するため検出が困難です。個人や組織のデバイスが知らぬ間に組み込まれる可能性があり、サイバーセキュリティ上の重要な脅威となっています。
また、この曖昧さが、サイバー攻撃に対する調査や対策の進展を妨げる制度上の不備につながる可能性があります。個人のプライバシー保護と国家の安全保障のバランスを取ることは容易ではありませんが、現代のサイバー脅威に対応するためには、より柔軟で効果的な法的枠組みが必要となるでしょう。
今後の法制化に向けては、技術の進歩に対応できる柔軟な制度設計と、個人の権利を適切に保護するための慎重な議論が求められます。
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