LINEヤフーに資本関係見直し要請 総務省が行政指導
行政指導では、ネイバーとの共通システムの分離や、委託体制の見直しを求めた。加えて、ネイバーがLINEヤフーの親会社に対し支配的な立場にあることについて、資本関係の変更を検討するよう促した。
総務省はこの日、電気通信事業法に基づき「通信の秘密」の漏洩と認定。LINEヤフーに対し、4月1日までに再発防止策の実施状況を報告することを求めた。その後も1年間は四半期ごとに取り組み状況を報告するよう要請している。
松本剛明総務相は「再発防止と利用者利益の保護を徹底させる。改善が見られなければ、更に強い措置を講じる」と強調した。
LINEヤフーは昨年11月に利用者情報約44万件、今年2月には51万件が流出した可能性があると公表。同月にはネイバーの業務委託先から従業員情報約5万7000件が流出した可能性もあると発表していた。
総務省は過去にも旧LINEに同様の事案があり、安全管理の徹底を求めていた経緯がある。
経済安保の情報保護、新法案を閣議決定 漏洩には罰則
LINEヤフーの行政指導に先立ち、政府は2月27日に経済安全保障上の重要な機密情報を適切に取り扱うための新たな資格制度「セキュリティー・クリアランス」の創設法案を閣議決定した。この法案では、日本の安全保障に影響を及ぼす恐れのある重要経済安全保障情報を指定し、その情報を扱える者を限定する。資格取得には犯罪歴などの審査があり、情報漏洩時には刑罰が科される。対象となる情報には、サイバー防御、AI、半導体などのサプライチェーンに関するものが含まれる。
総務省としては、こうした法整備を進めるうえで、日本国内ですでに広範に使用されているLINEを外国企業から切り離す事を考えているのかもしれない。
これまで日本には経済安全保障情報を守る仕組みがなく、企業から制度化を求める声があがっていた。新法成立により、広範な情報保護体制が整備され、企業の海外事業展開が容易になると期待されている。
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