総務省は、「LINE」の利用者情報が不正アクセスで流出した問題について、運営会社のLINEヤフー社に対し異例の2度目の行政指導を行うことを明らかにした。
LINEヤフーに異例の再指導=情報流出、対策は不十分―総務省
松本総務相は16日の記者会見で、7月1日までに、より具体的な再発防止策の履行状況や実施計画の報告を求めると述べた。同相は「再発防止に向けた抜本的な見直しと対策強化を加速化させるため」に、追加の指導を行うと説明した。
総務省が民間企業に執拗に改善を求めるのは、LINEは単なるコミュニケーションツールにとどまらず、決済サービスや行政サービスなど、国民生活に深く関わるインフラとなっているからでもある。その中で、医療機関でも院内連絡などにLINEが利用されていることが問題視されている。
韓国NAVER社のシステムに依存しているLINEには、セキュリティ上の懸念が以前から指摘されている。2021年には、台湾の当局関係者らがLINEを通じてハッキングされる事件も発生した。サイバー攻撃による医療情報の流出は、患者の生命に関わる深刻な事態を招きかねない。
医療情報は最も機密性の高い個人情報の一つである。万が一、LINEを通じて患者の医療情報が流出すれば、単なる個人情報漏洩以上の重大な問題に発展しかねない。また医療者個人のLINEアカウントで公私混同して使用していれば、いわゆる誤爆のように利用者のミスで情報漏洩事故が発生する可能性もある。
専門家は、医療従事者によるLINE使用を以前より懸念しており。機密性の高い医療情報を扱う立場にある医師や薬剤師が、LINEのようなセキュリティ上の疑義が存在するツールを使うことは避けるべきだと指摘する。
医療分野におけるLINEの利用実態を早急に調査し、適切な対策を講じることが重要だ。患者の生命に関わる医療情報の管理強化は喫緊の課題となっている。
LINEの情報漏えい LINEヤフーに2度目の行政指導 総務省
プラットフォーム監視の役割【寄稿】
「LINEの個人情報管理問題のスクープと関連報道」受賞報告
朝日新聞社・峯村健司氏
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