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薬局DXニュース解説

2024.03.05

EUで始まるアプリストア開放、医療情報の安全性とセキュリティにリスク

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欧州連合(EU)は、3月初旬、EU域内でアプリストアの開放に向けた動きを進めている。

欧州連合(EU)は、3月初旬、EU域内でアプリストアの開放に向けた動きを進めている。これは、AppleやGoogleなどの独占的なアプリストアに代わって、ユーザーが自由にアプリをダウンロードできるようにするもので、競争促進や消費者にとっての選択肢拡大が期待されている。

しかし、医療従事者からは、この開放によって医療情報の安全性や信頼性が損なわれるのではないかという懸念が出ている。
EU版iPhoneの「退化」を日本も無視できない理由
DMA対応でアプリストアなど開放、リスクは増大
現在、アプリストアでは、アプリが公開される前に審査が行われている。これは、悪質なアプリやセキュリティ上の脆弱性を持つアプリがユーザーに提供されるのを防ぐためだ。しかし、アプリストアが開放されると、審査を受けずに公開されるアプリが増え、医療情報の漏洩や不正利用のリスクが高まる可能性がある。

特に、医療アプリは、患者さんの個人情報や健康状態に関する重要な情報を取り扱うため、セキュリティ対策が必須である。アプリストアが開放されると、セキュリティ対策が不十分なアプリが流通しやすくなり、患者さんの情報が漏洩したり、悪意のある第三者に利用されたりする可能性が高まる。

また、医療情報の誤情報が拡散されるリスクも高まる。現在、アプリストアでは、デマや医療情報の誤情報を含むアプリは審査で排除されている。しかし、アプリストアが開放されると、誤情報を含むアプリが審査を受けずに公開される可能性があり、患者さんが誤った情報に基づいて判断を下してしまうリスクが高まる。

医療情報は、患者さんの健康状態や治療方針に大きく影響を与えるため、正確性と信頼性が非常に重要である。デマや、誤情報が拡散され、それを信じてしまうことで、患者さんが適切な治療を受けられずに病状が悪化するなど、深刻な被害につながる可能性がある。

医療従事者は、本来、患者さんの診療や治療に集中すべきです。しかし、サイドローディングが義務化されると、医療従事者は、アプリに関する情報収集や指導に多くの時間と労力を割かなければならなくなります。これは、医療従事者の負担増加につながり、医療の質の低下を招く可能性があります。

東京都医師会もサイドローディングに反対を表明

現在、日本政府も「デジタル市場競争会議」にて、公式アプリストア以外から配信するサイドローディングを実現させようとしている。同会議が昨年行ったパブリックコメントで、様々な意見が寄せられる中で、東京都医師会がiPhoneのサイドローディング義務化に反対するパブリックコメントを送ったという。

1. セキュリティの安全性への懸念
サイドローディングが義務化されると、審査を受けずにアプリをインストールすることが可能になり、悪意あるアプリが端末内に蓄積されている様々な個人情報の抜き取りや不正利用のリスクが高まる可能性があります。またデジタル庁では、マイナンバーカードのアプリ化なども検討されている段階であり、セキュリティへリスクが高まることが予想されます。

3. パーソナル・ヘルス・レコード(PHR)への影響
今後、iPhoneはPHRと呼ばれる個人の健康情報を保存するプラットフォームとして活用されることが期待されています。サイドローディングが義務化されると、PHRの信頼性に疑念が生じ、情報漏洩を不安視して使用しなくなるなど、せっかくの良い習慣が後退する可能性も懸念されます。

4. 医療DXへの影響
東京都医師会は、医療機関間のカルテ共有システム「東京総合医療ネットワーク」を構築しています。将来的には、このシステムとPHRを連携させ、患者が自身の健康データを医師に提供できるようにすることを目指しています。サイドローディングが義務化されると、この構想の実現が困難になる可能性があります。

現在、スマートフォンは個人情報プラットフォームとなっており、金融から医療情報まで様々な情報が蓄えられている。これを市場原理だけで開放しセキュリティリスクは自己責任で個人に背負わせるのはリテラシーが追いつかないだろう。医療情報の安全性と信頼性、そして医療DXの推進という観点から、サイドローディング義務化は慎重になるべきでしょう。
iPhoneアプリ配信の緩和 東京都医師会が反対した理由
東京都医師会の尾崎治夫会長と目々沢肇氏は、サイドローディングが医療情報の安全性や信頼性を損なう可能性があると指摘しています。
また、将来的にiPhoneがPHRとして活用されることを想定し、その安全性確保のためにサイドローディング義務化は望ましくないと主張しています。
さらに、東京都医師会は医療DXの一環として、医療機関間のカルテ共有システムを構築しており、将来的にはこのシステムとPHRを連携させる構想を持っていることを明らかにしました。
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