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薬局DXニュース解説

2024.01.17

薬価差の問題 ≠ 敷地内薬局の問題 ではないか?

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医療経済実態調査の結果から、敷地内薬局では「医薬品費等」が突出して高いにもかかわらず、利益率が高いことが指摘されている。

厚労省・安川薬剤管理官 過度な薬価差「敷地内薬局の実態含め整理すべき」 チェーンで薬価差大 中医協
厚労省・安川薬剤管理官 過度な薬価差「敷地内薬局の実態含め整理すべき」 チェーンで薬価差大 中医協
https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=75917

ミクスOnlineさんの記事からです・

敷地内薬局がある頃まではそれほど問題視されていなかったのに、行政サイドの取り上げ方は年々大きくなってきたような気がします。

この記事には〝薬価差益の問題〟と〝敷地内薬局の問題〟という異なる2つの〝問題〟がひとつの〝融合した問題〟として取り上げられていて、そこに少し無理があるような気がしているのです。

敷地内薬局の是非については、視座の置き方次第で簡単に〝是〟にも〝非〟にもなり得ます。著者自身はこのような薬局形態が存在することに対して、特段どちらのスタンスも取っておらず、敷地内薬局は敷地内なりの利点を活かした道を進めば良いのではないかと考えています。逆に敷地内以外の薬局は、以外ならではの自らの活かし方があるはずです。

因みに一国民としての私の視座は、多様な薬局に存在していて欲しいというものです。

さて、一方で〝薬価差〟。私が製薬会社にいた若かりし頃からずっと問題視されてきたテーマ。これは別問題です。というか、資本主義的ゲームのルールに乗っかっている以上、スケールメリットは自然に発生することですから、物量が多い薬局により多くの値引きが入ることは普通の力学ですよね。但しこれは、何も敷地内薬局に限ったことではありませんし、薬剤の消費量が多ければ多いほど、同じ力学は働くので、〝敷地内薬局の問題〟とは全く別の位相の話です。

では〝薬価差の問題〟にどう対峙すべきか?私の意見はこうです。

もう、薬価差に自由を組み込まない。要するにどこの薬局でも病医院でも、薬で得られる利益率はまったく同一に固定してしまう。この部分については資本主義から離脱して、社会主義的政策を取り入れるというアイデアです。いえ、日本国が社会主義になるわけでもなんでもなく、国民共通インフラである〝医薬品供給で得る利益率〟は、病医院・薬局も規模も問わず統一するのです。

医薬品卸からの値引き率も薬価同様に公定値引きに一本化すれば良い。すべての薬の値引き率を統一すれば、毎年毎年薬価差益などという医療の本質と関係ない領域で、薬価調査からずっと国を挙げて行っている多大な労力は不要、医薬品卸もいちいち値引き交渉で医療の本質とかけ離れた労力を注がなくても良いと思うのです。

これから益々生産年齢人口は減るのです。医療という社会的インフラのなかで、国民の治療に用いる医薬品の価格について、医療の質に資さない領域にリソースを割く余裕などないと考えています。

以上のような視座をもったら、〝薬価差の問題〟と〝敷地内薬局の問題〟は別問題だと感じてしまう感覚を少しはシェアできたでしょうか。
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