<医療シン時代>患者との触れ合い増加 先進現場 組織や意識に変革
ひとつめの事例として、愛媛県四国中央市にあるHITO(ひと)病院がある。
看護師の多くが病室や廊下におり、あまりナースステーションにいないとのこと。
看護師は病室で患者の様子を確認すると、その場でスマートフォンを操作し、電子カルテに入力し、担当者同士の打ち合わせも廊下で行っている。
この態勢を可能にしているのが、ほぼ全職員約600名に一台ずつ配備しているスマホなどの業務用端末とのこと。
これにより看護師が院内を移動する距離は、導入前の一日平均8 kmから3 kmに減り、事務連絡のため、担当ごとに毎日行っていた朝礼も不要になったとのこと。
時間に換算すると、看護師一人当たり一日100分の余裕ができ、時間外労働は年間で計6,000時間削減できたとのこと。
時間のゆとりは、気持ちの面でも患者に向かわせ、病室は患者が嫌がらない限り、ドアを開けたまま担当の看護師は廊下にいる時も常に体を病室に向けている。
それにより、高齢の患者に目を配り、転倒や移動時のトラブルを防ぐための意識が高まっていると記事は伝えている。
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「DX推進の課題とされるのは、システムの導入や運用にかかるコスト、デジタル技術に詳しい人材の確保だ」と名古屋大病院メディカルITセンター長の白鳥義宗氏は言う。
また、国の支援が必要だと指摘し、「現場ごとに状況が異なることを踏まえつつ、ITと医療をつなぐ人材を育てるなどきめ細かく進めるべきだ」と話している
この記事にある医療機関はなぜ?DXに踏み切ることが出来たのか?という問いが出てくる。
その答えに、各医療機関の院長らが口をそろえて言うのは「DXはあくまで手段で、必要なのは問題意識と理念」ということである。
基本的なことではあるが、手段と目的を見誤ると医療DXは徒労に終わってしまう。
デジタル化に振り回されるのではなく、常に問題意識と理念をもって取り組んでいきたいものである。
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