こちらはGemMedの記事です。
https://gemmed.ghc-j.com/?p=55076
地域単位で「疾患別の推奨医薬品リスト」を作成・運用し、地域単位での医療の標準化を進めよ
最近よく耳にする「フォーミュラリ―」を皆さんはご存じでしょうか?
欧米で行われている「費用対効果」を軸にした処方基準ガイドラインと日本語では言えます。
私が知る限りフォーミュラリーは2種類あり、アメリカ型とイギリス型があり、この2つは似て非なるものです。
アメリカ型はPBM(Pharmaceutical. Benefit Management)というのですが、そもそも日本と医療制度が異なり、加入している保険会社によって処方できる医薬品が異なるという特徴があります。保険者とメーカーが契約するため、如何に利益のあるメーカーと契約できるのかといったフォーミュラリ―になります。
イギリス型はNICE(National Institute of health and social excellence)という処方ガイドラインになります。イギリスの医療は公的医療で医療従事者の多くは公務員です。医療は税方式のため、医療費が上がることは増税になる為、費用対効果を基にしたガイドラインが策定され、医師はそのガイドラインに則って処方を選択します。
ガイドラインから著しく外れた処方を繰り返す場合は、医師の報酬や免許更新にも影響を与えると言われます。
日本でも医療費抑制の観点からフォーミュラリ―の策定が求められていますが、「処方制限になるのでは」と医師会から強く反対の声が上がっています。
先駆的に院内フォーミュラリーを策定しているところもありますが、「採用薬の選定」と何が異なるのかというと疑問が残ります。
今後地域単位でフォーミュラリー策定が進んだ際には、A地域とB地域ではなぜ推奨薬が異なるのかといった問題が発生します。医学的考察の差や流通等の観点の他、特定のメーカーとの利益供与などが考えらえます。
私は過去6回に渡るイギリス視察、現地の日本人医師や薬剤師の方との交流からフォーミュラリ―への理解を進めてきましたが、いま国が描いているビジョンから到達すべきゴール等が感じられないのが正直な感想です。
形骸化しないように、きちんと課題を整理し、変えなければいけないものをは変えなくては、またいつものような失敗政策で終わってしまうということを危惧しています。
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