こちらはPharmacy news breakの記事です。
電子処方箋の調剤結果情報、「電子薬歴」も反映可能に -JAHISが今秋めどに仕様書公開-
https://pnb.jiho.jp/article/229321
電子処方箋の導入施設が少しづつではありますが、増加しています。(4月9日公表:2,871件)
主に薬局での導入が増えていますが、導入に向けた課題もチラホラ見えています。
その一つに、「電子薬歴」の対応がありました。
電子処方箋は「レセプトコンピュータ」に接続された「オンライン資格確認端末」を介して連携を行っています。
レセプトコンピュータと電子薬歴が同じメーカーであれば特に問題は無いのですが、昨今、電子薬歴は多様化の傾向にあり、別メーカーを採用しているという企業も多いのではないでしょうか。
実は、そのようなレセプトコンピュータと電子薬歴が異なるメーカーの際の情報連携については仕様が定められておらず、現時点ではレセプトコンピュータ側で作成する「調剤結果情報」に薬歴の情報を反映できないという課題がありました。
この問題は、電子処方箋が開始された1月時点から水面下では課題に挙げられていました。
保険医療福祉情報システム工業会(JAHIS)にて協議が行われ、標準仕様を定める仕様書が今秋作成されるということです。
なぜ、運用が始まっているのに、「仕様が定まっていなかったのか」と疑問に持つ方も多いかと思いますが、それだけ電子処方箋については見切り発車の状態で進んでいたということは言うまでもありません。
また、レセコンメーカーにとっては、オンライン資格・電子処方箋と補助金も付与されて「医療DX特需」と呼べる状態にあったにも関わらず、電子薬歴メーカーにとっては特需を恩恵を受けることが出来ず、ただひたすらに対応に追われる状態となってしまったことが挙げられるのではないでしょうか。
医療DXの掲げるビジョンには共感できることも多くありますが、「現実」を見るとどうにも始める準備が出来ていないと感じざるを得ない状況にあります。
課題となる病院への電子処方箋対応は数千万円の投資が必要と言われています。
すでに多額の補助金を給付し、マイナンバーカードの保持という国民を巻き込んで進めている大改革。
中途半端ではなく、明確なビジョンと強いリーダーシップ、そして実現性のある計画を示してほしいものです。
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