icon-sns-youtube icon-sns-facebook icon-sns-twitter icon-sns-instagram icon-sns-line icon-sns-tiktok icon-sns-etc

薬局DXニュース解説

2025.12.09

診療報酬改定の基本方針から方向を考える

  • facebook
  • twitter
  • LINE

2026年度診療報酬改定に向けたラストスパートが始まっています。どうしてもこの時期は改定に関する情報が中心となりますが、「医療DX」に関する議論は止まってしまっているのが事実。3月ごろまでは改定情報にお付き合いいただければと思います。

皆さんは改定情報となると「中央社会保険医療協議会(中医協)」が頭に思い浮かぶと思います。また12月前後だと財務省の「財政制度等審議会(財政審)」でしょうか。多くの改定セミナーでもこれらの情報を中心として構成がされていますが、本当に報酬改定を考えていくのなら、それだけでは足りません。

では何が足りないのか。それが「診療報酬改定の基本方針」です。中医協は厚生労働大臣から諮問を受けた「報酬内容について議論する場」というのは間違いないですが、診療報酬というのは社会保障制度の中の「報酬」という細目でしかありません。根本的な「社会保障制度(医療制度)」をどうするのかという議論をするのが「社会保障審議会」という別議会になります。情報の流れとしては、社会保障審議会(医療部会)、社会保障審議会(医療保険部会)を通してからの、中央社会保険医療協議会となります。皆さんにとってどうでもいい情報かもしれませんが、これを理解しなくて報酬改定を理解できません。

「診療報酬改定の基本方針」は社会保険医療協議会(医療・医療保険部会)で議論され、ほぼほぼ固まり案が公表されています。

【第206回社会保障審議会医療保険部会】
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_66677.html
令和8年度診療報酬改定の基本方針の概要(案)

令和8年度診療報酬改定の基本方針の概要(案)

引用元: 第206回社会保障審議会医療保険部会

スライドは基本方針を1枚のスライドにまとめたものですが、さすがにこれだけで理解は難しいので、基本方針(案)原文を見ていく必要があります。いくつかのポイントをお伝えします。

令和8年度診療報酬改定において、物価高騰・賃金上昇、人口の減少、支え手が減少する中での人材確保の必要性等、医療機関等が厳しい状況に直面していることや、現役世代の保険料負担の抑制努力の必要性を踏まえつつ、地域の医療提供体制を維持し、患者が必要なサービスが受けられるよう、措置を講じる必要がある

これが主たる方針となります。

(社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和)
制度の安定性・持続可能性を確保しつつ国民皆保険を堅持し、次世代に継承するためには、経済・財政との調和を図りつつ、現役世代の保険料負担の抑制努力の必要性を踏まえながら (略)
⇒社会保障改革(利用者負担見直し、高額療養費、OTC類似薬の保険見直し等)につながります。

(物価や賃金、人手不足等の医療機関等を取りまく環境の変化への対応)
・医療機関等が直面する人件費や、医療材料費、食材料費、光熱水費及び委託費等といった物件費の高騰を踏まえた対応
賃上げや業務効率化・負担軽減等の業務改善による医療従事者の人材確保に向けた取組
⇒(調剤においては)基本料のアップ!?、医科同様のベースアップ評価料などがあるのか?

(2040 年頃を見据えた医療機関の機能の分化・連携と地域における医療の確保、地域包括ケアシステムの推進)
・かかりつけ医機能、かかりつけ歯科医機能、かかりつけ薬剤師機能の評価
・地域において重症患者の訪問診療や在宅看取り等を積極的に担う医療機関・薬局の評価
⇒かかりつけ薬剤師、地域支援体制加算の見直し?、在宅薬学総合体制加算2の再評価

などすべてを記載出来ませんが、ここに掛かれている項目から、これまでに行われた実際の議論を紐づけていくと、評価になりそうな部分が見えてきます。
なんでもそうですが「骨子」や「基本方針」は非常に重要な意味を持っています。
「どうなるのか」だけ知りたいという方も多いかと思いますが、お時間のある方はぜひ一度目を通しておいてもいいのではと思います。
  • facebook
  • twitter
  • LINE

RELATED