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薬局DXニュース解説

2024.10.04

線虫がん検査の有効性に疑問符 - PET検診との比較調査で明らかに

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日本核医学会PET核医学分科会とPETがん検診WGの共同調査により、線虫を用いたがん検査「N-NOSE®」の有効性に疑問が投げかけられています。

日本核医学会PET核医学分科会とPETがん検診WGの共同調査により、線虫を用いたがん検査「N-NOSE®」の有効性に疑問が投げかけられています。調査結果によると、N-NOSE®で「高リスク」と判定された受診者のうち、実際にPET/CT検査でがんが発見されたのはわずか2.09%でした。さらに、N-NOSE®が対象とする15種類のがんに限定すると、発見率は0.95%とさらに低下しました。興味深いことに、N-NOSE®の対象外のがん(甲状腺がんなど)が多く発見される傾向も明らかになりました。
調査結果のポイント
1.N-NOSE®で「高リスク」と判定された受診者のうち、実際にPET/CT検査でがんが発見されたのはわずか2.09%
2.N-NOSE®が対象とする15種類のがんに限定すると、発見率は0.95%とさらに低下
3.逆に、N-NOSE®の対象外のがん(甲状腺がんなど)が多く発見された

問題点
1.がんリスクの判定基準が不透明で、科学的根拠が乏しい可能性
2.偽陽性が多く、不要な精密検査や心理的負担を招く恐れ
3.低リスクと判定されても、がんの見逃しリスクは残る
福岡大学医学部放射線医学教室の長町茂樹教授は「N-NOSE®の高リスク判定は直接的な担がん状態を意味するものとは言い難い」と指摘しています。この調査結果は、N-NOSE®のがんリスク判定基準の不透明さや科学的根拠の乏しさを示唆しており、偽陽性による不要な精密検査や心理的負担を招く恐れがあります。また、低リスクと判定されてもがんの見逃しリスクは残るため、慎重な取り扱いが求められます。

今後の課題として、線虫検査の科学的メカニズムの解明、より大規模で長期的な臨床試験の実施、適切な使用ガイドラインの策定が挙げられています。専門家は、N-NOSE®をがん検診の代替として使用することには慎重な姿勢を示しており、現時点では従来の検診方法と組み合わせて補完的に利用する程度が妥当とされています。

この問題を受け、厚生労働省による規制の検討も必要との声が上がっており、今後の動向が注目されます。がん検診の精度向上と患者負担の軽減のバランスを取るため、さらなる研究と議論が必要とされています。
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