icon-sns-youtube icon-sns-facebook icon-sns-twitter icon-sns-instagram icon-sns-line icon-sns-tiktok icon-sns-etc

薬局DXニュース解説

2024.08.01

iPhoneの衛星経由緊急SOS機能:訪問診療の安全性向上に期待

  • facebook
  • twitter
  • LINE

Apple社が2024年7月30日公開したiOS 17.6アップデートにより、日本国内でiPhoneの衛星経由緊急SOS機能が利用可能になった。この機能は、携帯電話の電波が届かない場所でも衛星を通じてSOS信号を送信できるもので、訪問診療を行う医療従事者の安全確保に大きな役割を果たすと期待されている。

訪問診療における新たな安全網

ほとんどの携帯キャリアは都市部での人工カバー率は100%近くなっており、かつて携帯通信キャリアが競っていた人口カバー率という言葉も聞かれなくなって久しい。ただ地図上では圏内エリアとなっていても日本は山地や島嶼部など地形が立体的であり、谷間などロケーションによって圏外になってしまうエリアが存在することを経験した方も多いだろう。
近年、高齢化社会の進展に伴い、訪問診療のニーズが高まっている。医療従事者が患者の自宅や施設を訪れる機会が増加する中、緊急時の通信手段の確保は重要な課題となっていた。筆者の友人などは3キャリアの携帯電話を契約して3台持ちで備えている人もいる。

今回実装された衛星経由緊急SOS機能は、以下の点で訪問診療の安全性向上に貢献すると考えられる。

1.中山間地域や離島など、携帯電話の電波が不安定な地域での緊急通報手段の確保
2.災害時など、通常の通信インフラが使用できない状況下での連絡手段の確保
3.医療従事者の位置情報共有による安全管理の強化

とりあえず空が見える地点であれば、連絡する事ができる安心感は何者にも代えがたい。2011年3月11日に発生した東日本大震災のときなどは携帯基地局も被災し、市街ですら通信が途絶えた事を記憶されている方も多いだろう。あのとき、この機能があれば、もっと助けられたかもしれない・・

私的な緊急事態にも使える活用方法

とはいえ、自らが救急を呼ぶような、生死に関わるような事態に遭遇することは現実には稀だろう。使い所が難しい機能ではあるが、実は緊急時以外にも、「探す」アプリを通じて位置情報を共有することが可能なので、圏外エリアで、道に迷った、往診車が故障した、などの私的な一大事に仲間に救援求めるようなケースでも利用できるので、操作方法は覚えておいたほうが良さそうだ。

なお、衛星経由緊急SOS機能に対応しているのは、iPhone 14シリーズとiPhone 15シリーズの全モデルである。利用料は、端末のアクティベーション時から2年間無料となっている。

ユーザーが電波の届かない場所に出かけている時に、友人や家族に居場所を知らせたい場合は、iPhone 14とiPhone 15の「探す」アプリを開いて、衛星経由で位置情報を共有できます。

引用元: Apple

iOS 17.6のアップデートにより実装された衛星経由緊急SOS機能は、訪問診療を行う医療従事者の安全確保に大きな可能性を秘めている。医療機関は、対応機種を所有する職員に対し、早急なアップデートと機能の使用方法の周知を行うことが推奨される。
この新機能が、訪問診療のさらなる普及と、医療従事者の安全確保に寄与することが期待される。
  • facebook
  • twitter
  • LINE

RELATED