厚生労働省は、2027年度を目標に医薬品の国内在庫を一括管理できるシステムの運用開始を計画しています。このシステムは、製薬会社から薬局に至るまでの各段階における在庫状況を可視化し、関係者間で情報共有を可能にします。
背景には、現在日本が直面している深刻な医薬品供給不安があります。日本製薬団体連合会の報告によると、6月時点で約1万7000品目のうち2割が出荷制限または停止状態にあり、その6割以上をジェネリック医薬品が占めています。
新システムの主な目的は以下の通りです
1.品薄リスクの早期予測
2.過剰発注や在庫積み増しの抑制
3.需給バランスに基づいた適切な対応策の実施
ただし、このシステム導入に関しては、いくつかの懸念点も指摘されています。特に長年、地域医療を支えてきた医薬品卸の役割が縮小する可能性があり、業界内で不安の声が上がっています。
厚労省は、有識者検討会を通じてシステムの具体的な設計を進める予定です。既存システムとの連携や、海外事例を参考にしたブロックチェーン技術の活用なども検討されています。
さらに、厚労省は医薬品の安定供給に向けて、ジェネリック医薬品メーカーの再編も提案しています。これには独占禁止法に関する検討や財政支援も含まれ、業界全体の生産体制の効率化を目指しています。
今後の展開が注目される中、医療関係者や患者の皆様にとって、より安定した医薬品供給体制の構築が期待されます。
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