パリオリンピックを目前に控え、体操女子日本代表のエース、宮田笙子選手(19歳)の喫煙疑惑が浮上し、日本体操協会が調査を開始しました。この事態は、アスリートの健康管理とアンチ・ドーピングの観点から深刻な問題を提起しています。
宮田選手は19歳であり、喫煙そのものが違法であることは言うまでもありませんが、スポーツ医学的観点からも喫煙はアスリートのパフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性が高いだけでなく、アンチ・ドーピングの観点からも懸念事項となります。タバコに含まれるニコチンには筋肉増強作用や精神安定作用があるとされ、競技力向上に寄与する可能性があるためです。
世界アンチ・ドーピング機構(WADA)は、現在ニコチンを禁止物質にこそ指定していませんが、競技会時のニコチン使用を「監視プログラム」のリストに掲載しています。これは、ニコチンの使用状況を注視し、将来的に禁止物質に指定する可能性を示唆しています。
また、日本体操協会の行動規範では、20歳以上であっても代表チームの活動中は原則として喫煙を禁止しています。この規定は、選手の健康維持とパフォーマンス向上を目的としているだけでなく、アンチ・ドーピングの精神にも合致しています。
今回の事案は、若手アスリートの健康管理の重要性と、アンチ・ドーピングに対する意識向上の必要性を再認識させるものです。こうした啓蒙や競技者の薬の服用や栄養補助食品ついての相談先として「スポーツファーマシスト」という日本アンチ・ドーピング機構(JADA)が認定するアンチ・ドーピングに関する専門的な知識を有する薬剤師がいます。競技者の薬の服用や栄養補助食品の使用に関する相談に応じ、ドーピング防止活動の第一線で活躍を目指したものです。アスリートの健康管理や競技力向上を支援しつつ、意図しないドーピング違反を防ぐ重要な役割を担っています。
今回の喫煙問題でオリンピック代表権の剥奪の可能性も示唆されています。たった一回の失敗で選手生命が終わってしまうのがドーピングの恐ろしさです。スポーツファーマシスト資格を持った薬剤師の選手や指導者に対して喫煙がパフォーマンスに与える悪影響やアンチ・ドーピングの観点からの問題点について、より一層の啓発活動が必要だと考えられます。
日本体操協会は、調査結果を踏まえて今後の対応を検討するとしています。この事案を契機に、アスリートの健康管理とクリーンなスポーツの推進に向けた取り組みが強化されることが期待されます。
体操女子 日本代表の19歳 宮田笙子選手 喫煙疑惑で協会が調査 | NHK | #体操
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