医療データ、民間アプリに提供拡大 マイナポータル連携 - 日本経済新聞
医療データの民間利用拡大は、個人の健康管理や予防医療の高度化、創薬や治療法の開発促進など、医療の質向上と経済面の両面で大きな可能性を秘めています。
利用者の同意に基づくデータ連携は、個人の自己決定権を尊重しつつ、データの有効活用を図る上で重要です。同意取得プロセスの透明性確保やデータ利用範囲の明示により、利用者の信頼を得ることが鍵となります。
とあるタクシー会社のアプリで、効率的な配車に必要であるということで利用者の同意の下で取得された位置情報が、利用者の意図しないマーケティング目的で第三者に提供された事例があります。この問題が発覚し、SNSで炎上したことから、個人情報保護委員会から行政指導が出される事態にまで発展しました。
タクシー会社のアプリにおける位置情報利用の事例では、利用規約の曖昧さや目的外利用の説明不足が、利用者の不安や不信を招く結果となりました。
医療データの利用においても、データの利用目的を明確に説明し、利用者が納得した上で同意できる環境を整備することが必要です。医療情報を扱うだけに、セキュリティ対策とともに、プライバシー保護への配慮が一層求められます。
民間企業が医療データを活用する際は、利用目的を具体的かつ平易に説明し、利用者のメリットを丁寧に伝えることが大切です。合わせて、同意後も利用者が随時利用状況を確認・管理できる仕組みの構築が望まれます。
医療データの民間利用は大きな可能性を秘めていますが、利用者との信頼関係なくしては成り立ちません。官民が連携し、利用者視点に立った透明性の高いデータ利活用基盤を整備していくことが強く求められていると言えるでしょう。
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