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薬局DXニュース解説

2024.03.18

医療のクラウド化に伴う障害リスク マクドナルドのシステム障害をきっかけに注目高まる

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3月15日にマクドナルドで発生した世界規模のシステム障害の原因は、プロバイダーが設定を変更した際に不具合が生じたものとされている。

マクドナルドのシステム障害 プロバイダーの設定変更が原因
ハンバーガーチェーンのマクドナルドの世界規模のシステム障害が、医療分野のクラウド活用に伴うリスクの存在を改めて意識させる出来事となった。

3月15日、日本をはじめ、世界各地のマクドナルドで発生したシステム障害で多くの店舗が、営業停止や現金のみの決済となるなど大きな問題が発生した。同社は「利用する第三者クラウドプロバイダーの設定変更が原因とされている」と発表。現在順次回復している模様だ。
この障害は医療機関でも、他山の石とするべき事象が含まれている。現在、医療機関は電子カルテや医療画像管理、看護や薬歴などの院内システムを電子化し、院内オンプレミスサーバーからクラウドサーバーに移行する「医療DX」が進んでおり、同様のリスクが潜んでいる。

「医療従事者は現場でのシステム障害に不安を持つ」と語るのは、都内の大手病院で院内システム管理をしている筆者の友人だ「診療情報が参照できなくなれば、患者の命に係わりかねない」と言う。

政府は2025年度までに、すべての医療機関においてオンライン資格確認や電子カルテ導入などを進める方針を示しており、施設間での電子カルテ連携や患者個人のPHRとの連携など医療のネットワーク化を推進する方向性を打ち出している。こうなると必然的に閉じた院内サーバーでは対応できないため、クラウド化というのが自然な流れとなる事が予想される。

医療機関はランサムウェアなどのセキュリティリスクだけでなく、こうしたクラウドの障害への備えも喫緊の課題となっている。対策として、以下が必要となるだろう。

(1)電子カルテなどの医療サービスがクラウドを利用している場合、どこのプロバイダーを利用しているか、SLAなど選定時に障害対応力の慎重な評価
(2)クラウド障害に備えた、診療データのオンプレミス環境での十分なバックアップ
(3)医療スタッフへの障害発生時の対応訓練の実施
(4)オンプレミスとクラウドの複合運用による冗長化

「医療はIT無しには成り立たない」(同、院内システム管理者)。医療DXを着実に進めるためには、クラウドリスクへの適切な備えも必須となる。
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