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トップ・開発者インタビュー

2025.12.05

エンジニア集団の知見をもって医療DXに貢献したい ~ 株式会社アクシス 川野尚吾代表インタビュー

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薬局DXを牽引する主要ベンダー企業のトップにインタビューし、経営理念、製品・サービスの魅力、開発姿勢などに迫る本企画。今回は、株式会社アクシスで代表取締役を務める川野尚吾氏にお話を伺います。
※本記事は2024年9月のインタビュー記事です。2025年9月1日、株式会社アクシスは株式会社メドレーと合併しました。

川野 尚吾(かわの・しょうご)
株式会社アクシス 代表取締役
慶應義塾大学理工学部卒業後、日商岩井株式会社(現・双日株式会社)に入社し、衛星放送事業に従事。複数の子会社設立、戦略子会社への出向を経て、2006年に独立。株式会社ベストクリエイトを創業し、代表取締役に就任。2011年に同社をバイアウト後、アクセルマーク社の取締役、モンスター・ラボ社の取締役、ギークス社の執行役員を経て、2022年6月に株式会社アクシスに参画、現職に就任。

集積してきたクラウドの経験が医療分野で花開いた

――まずは、貴社の概要についてお聞かせください。

健康寿命を支える事業を創出する――。これが、アクシスルートホールディングス株式会社のパーパスです。日本だけでなく世界中の人々の健康に貢献することを目標に、ITを活用しながら医療従事者の業務を支えてきました。グループ会社の一つが、私が代表取締役を務める株式会社アクシス。クラウド型電子薬歴システムを主軸に、現在は薬局業界に特化したSaaSを展開しています。グループ会社のもう一つが、DXによりクライアントの業務を支えるエンジニア企業、アクシスイノベーション株式会社。医療関連のさまざまな受託案件に携わることで、技術的知見を広げています。グループ全体でこうした見識を共有しながら、新しいことへチャレンジし続けてきました。

――貴社ならではの特徴や強みは、どのような点にあるとお考えですか。

そもそも株式会社アクシスは、エンジニア集団として事業をスタートしました。当初はWebサイト制作やゲーム開発などの受託開発を担っており、ITに特化した人材が豊富に在籍していたので、早くからクラウドに関する知見が培われていました。かつては「手元にデータがないのは怖い」といった理由で敬遠された時代もありましたが、今ではその安全性や自由度の高さから、多くの人が日常的に使用するようになりましたね。特に医療のような分野では、災害時に重要なデータを守るという観点からも有用な仕組みだといえるでしょう。創業より数年後、懇意にしていた調剤薬局のクライアントから頂いた「オンプレミスの自社システムをもっと効率化したい」という言葉をきっかけに、本格的に医療分野に参入。2014年に、業界初となるクラウドサービスとして「電子薬歴Medixs」をリリースする運びとなりました。
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現場の声に耳を傾けたシステムは継続率99%以上!

――主力製品である「電子薬歴Medixs」(以下、メディクス)の魅力を教えてください。

薬局の皆さんから頂く感想をまとめると、3つに大別することができます。1つ目は、時間や場所を選ばすに仕事ができること。自店舗内に縛られず、他店舗や移動先でも薬歴を確認・入力できることは、クラウドならではの利点です。実際、業務効率が大幅に向上したという声をよく頂きます。
2つ目は、安心感のある料金体系。初月の初期費用と毎月の月額利用料のみで利用可能で、契約期間の縛りは一切ありません。PCなどの設置台数が増えてもアップデートがあっても追加費用や更新料がかからず、使い続けやすい仕組みを整えています。
そして3つ目が、使用感のよさ。「システムに人を合わせるのではなく、人に合わせられるようなシステムであるべき」というのが、私たちの基本的な開発姿勢です。必要な情報を一画面に集約、多くの項目がクリック操作や充実したテンプレート選択、音声入力などで操作可能であることなど、現場での使い勝手のよさを追究してきました。そのために大切にしているのが、薬局の皆さんの声を収集するための定例会。日常的な業務フローに基づくニーズ、そして各種法改正をはじめとする業界動向を敏感にキャッチし、常にアップデートを図りながらシステムを成長させています。

――実際のユーザーからは、これまでどのような反響がありましたか。

北は北海道から南は沖縄まで、全都道府県でご利用いただいていますが、メディクスの継続率は10年間で99%以上。(※アクシス調べ 2024年8月時点 閉店・買収を含まず)しっかりと現場の声を拾い、良質なサービスを長く使用いただきたいという私たちの思いが、この数値にも表れていると思います。利用者層は多岐にわたりますが、一人ひとりの患者さんとじっくり向き合いながら地元の医療を支えている、中小規模の薬局をメインターゲットに据えてきました。とりわけ、昨今では在宅医療の重要性がますます顕著になっており、診療報酬改定を見ても在宅推進のメッセージが強く打ち出されています。地域の患者さんを守ってきた薬局の皆さんから「在宅でも使いやすい」と言っていただけるようなシステムであるよう、機能を充実させてきました。

――在宅医療で役立つ機能とは、具体的にどのようなものでしょうか。

一例を挙げると、ブラウザで動くのでスマートフォンのようにタブで複数患者の薬歴を同時に立ち上げて管理することができます。特に施設在宅の現場に入るときに便利な機能で、たくさんの患者さんがいても効率的に情報管理し、丁寧に服薬指導するための時間を取りやすくなります。また、訪問先で撮影した画像もすぐにクラウドで共有できるため、残薬を他の薬剤師と一緒に確認するといったことがタイムリーに行えます。さらに地図アプリと連携しており、初めての訪問先でも迷わずに移動することが可能に。細かいことの積み上げで、薬剤師の困り事を解消していくイメージです。

薬局・薬剤師に寄り添い、エールを送れる存在に

――薬局市場の展望を踏まえた、今後の目標をお聞かせください。

中期的には、地域包括ケアシステムの中でDXを推進すべく、既存のサービスを磨き上げていきたいです。オンライン服薬指導サービス「Medixsリモート調剤薬局」の一般販売を予定しておりますが、これを皮切りにより包括的なシステムを構築してく見通しなので、ぜひご注目いただければと思います。

長期的には、高齢者の増加と労働力の減少、都市圏への人口集中といった問題に向き合い、私たちにできることを追求していきたいと考えています。例えば、クラウドの経験を生かして薬剤師が在宅でも働きやすい環境を整え、育児中でも活躍できるようにする――といったことです。国の定めた方針に即しつつ、これからも新しい取り組みや、地域を支える医療従事者との連携などにどんどん挑戦していきたいですね。

――最後に、薬局関係者の皆さんにメッセージをお願いします。

薬剤師は、最も患者さんに近い場所にいる医療従事者の一人。皆さんに寄り添い、真に求められることをキャッチしながら、システム開発という「ものづくり」に励んでいく所存です。医療現場で奮闘される方々に、お届けするサービスを通してエールを送れる存在でありたいと心から願っています。

(取材実施:2024年8月)
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