在住外国人増加 薬局で役立つ「やさしい日本語」
東京都と順天堂大学が連携・協働して実施する“医療現場への「やさしい日本語」導入・普及事業”がはじまっている。
実は外国人もある程度日本語がわかる!?
訪日外国人が年々増加し、2023年には過去最多の3188万人を記録しました。東京都在住の外国人は約54万人と推定されています。当然、長く滞在していれば病気や怪我で医療機関のお世話になる外国人も増加してきます。そうした外国人が増加する中で、薬局でのコミュニケーションはますます重要になっています。しかし、外国語に自信がないと、外国人相手にスムーズな対応が難しいと感じる人も多いのではないでしょうか?
実は、東京都在住の外国人の62%は日本語がある程度理解できるという調査結果があります。なので拙い英語で無理にコミュニケーションを取ろうとせずに、これからご紹介する「やさしい日本語」で伝えた方が理解してもらえる可能性があります。
今回は「やさしい日本語」を薬局での事例を交えて紹介し、外国人とのコミュニケーションを円滑にする方法をご紹介します。
「やさしい日本語」とは?
「やさしい日本語」は、外国人でも理解しやすいように、日本語を簡略化したり、平易な言葉遣いに言い換えた相手に配慮したわかりやすい日本語のことです。阪神淡路大震災をきっかけに広く普及しました。外国人の他にも日本語を母語としない方や高齢者、障がいのある方など、様々な方に使用することができます。
現在、自治体の窓口や生活情報の提供、観光案内で効果を発揮していますが、残念ながら医療分野ではあまり浸透していません。
今回は、薬局のカウンターで使える「やさしい日本語」の事例を紹介しながら、外国人観光客や在留外国人が困らないためのポイントを解説します。
1. ゆっくり、はっきり話す
日本語は英語と比べて音の数が多いため、ゆっくり、はっきり話すことが大切です。また、文法や語彙もできるだけ簡潔にして、相手が理解しやすいように話しましょう。
「お名前をご記入ください」→「名前を書いてください」
「お薬を飲みましたか?」→「薬をのみましたか?」
2. 身振り手振りを取り入れる
言葉が通じなくても、ジェスチャーで伝えることができます。例えば、「頭が痛い」なら頭を指さしたり、「熱がある」ならおでこを触ったりするなど、視覚的な情報も活用しましょう。
体温を測る場所(脇の下)を示す
薬を飲む量を示す(実物を使って説明)
3. 難しい言葉は使わない
専門用語や漢字は避け、簡単な言葉で言い換えるようにしましょう。
「頭痛」→「頭がいたい」
「胃痛」→「お腹がいたい」
「イレウス」→「腸の一部が詰まっています」
4. 相手の目を見て話す
相手が理解しているかどうか、表情やジェスチャーから確認しながら話しましょう。目を合わせることで、真剣に話を聞いてくれているという安心感を与えることもできます。
わからない様子であれば、「わかりましたか?」と聞く
理解していない場合は、言い換えて説明する
ある程度日本語能力が高ければ、通常の日本語で応対する
少しの工夫で、困った時のおもてなし
「やさしい日本語」は、外国人とのコミュニケーションを円滑にするための有効な手段です。今回紹介したポイントを参考に、薬局での外国人対応に役立ててみましょう。
訪日外国人が増加する中、薬局での「やさしい日本語」は、彼らにとって大きな助けとなります。少しの工夫で、より快適な薬局体験を提供できるはずです。
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