薬剤師の負担増加と収入減!?2024年度調剤報酬改定は実質マイナス改定
中医協は2月14日の総会で2024年度診療報酬の改定内容をまとめ、武見敬三厚労相に答申した。
賃上げ原資で初診料30円増=処遇改善で加算新設―24年度診療報酬・中医協
2024年度の調剤報酬改定案が発表されました
2024年度の調剤報酬改定案が発表されました。一見、調剤基本料の引き上げや新設加算などプラスの改定に見えますが、実は実質的にはマイナス改定となる可能性が高いことが指摘されています。
地域支援体制加算の大幅減額
地域支援体制加算は、薬局が地域医療に貢献する取り組みを評価する加算です。しかし、今回の改定では、この加算が大幅に減額されました。
地域支援体制加算1:39点→32点(7点減)
地域支援体制加算2:47点→40点(7点減)
地域支援体制加算3:17点→10点(7点減)
地域支援体制加算4:39点→32点(7点減)
残薬調整報酬の減額
残薬調整は、患者の飲み残しの薬を整理し、適切な服薬指導を行う重要な業務です。しかし、今回の改定では、残薬調整報酬が20点に引き下げられます。
在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料 ロ:30点→20点(10点減)
これは、薬剤師の負担が増加する一方、報酬が減額される改定であり、現場の不満は高まるでしょう。
複雑化する報酬体系
今回の改定では、新設加算や要件変更などが多数行われ、報酬体系がさらに複雑化します。
在宅薬学総合体制加算1:15点
在宅薬学総合体制加算2:50点
調剤後薬剤管理指導料:60点
服薬情報等提供料2:20点
これは、薬剤師の事務負担が増加、本来の業務に集中できないなどが懸念されます。
医療従事者の負担増加
地域包括ケアシステムの名の下、医療従事者への負担が増加しています。今回の改定でも、連携関連の加算が新設されました。
連携強化加算:2点→5点
しかし、医療従事者のリソースとコストには限りがあります。費用対効果を十分に検討せずに負担を増やすことは、医療崩壊を招きかねません。
これでいいのか?
新たな医療報酬制度では、調剤基本料が強化され、特別調剤基本料や地域支援体制加算が引き上げられ、連携強化加算が増加しました。また、在宅薬学総合体制加算や調剤後薬剤管理指導料が新設され、服薬情報提供料も変更され、在宅や連携に配点が増加しましたが、地域支援体制加算と残薬調整は減点されました。
一見すると調剤基本料が引き上げられたことでプラスに見えますが、実質的にはマイナス改定であり、薬剤師の負担増と地域医療への悪影響は避けられないと見られます。
また、ペナルティ規定が導入され、一部の加算は1/10の算定しか認められません。この複雑な制度が業務の本質から外れ、コストとリソースの適切な割り当てに疑念が抱かれています。中長期で見れば薬剤師のモチベーション低下や薬剤師不足を招き、地域医療の崩壊に繋がる可能性も懸念されます。
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