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薬局DXニュース解説

2023.10.12

【現地取材】 第17回日本薬局学会学術総会@名古屋 機器展示会レポート①クラウド電子薬歴編

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2023年10月8・9日に名古屋で開催された第17回日本薬局学会学術総会での機器展示会をレポート。ここでは主に各社のクラウド型電子薬歴を紹介する。

今年で第17回となる日本薬局学会の学術総会が10月8日・9日の両日、名古屋国際会議場(愛知県名古屋市)にて開催された。
東海圏での久々の開催に、各講演、シンポジウムからポスター発表までリアル会場にも多数の薬剤師や関係者が参集した。

学術総会に併せて機器展示会も開催された。薬局業務をサポートするシステム機器のメーカー・ベンダーが多数出展しており、こちらも大盛況。
PHARMACY DX NEWS編集部も会場を取材し、各社の新製品や主力製品について話をお聞きした。

■クラウド電子薬歴編

電子薬歴はいままさにクラウド化の波が来ている印象だ。各社の特長・一押しポイントについて担当者からの話をまとめた。

株式会社アクシス

クラウド型電子薬歴の“元祖”「Medixs」
データが蓄積されて動作が重くなるオンプレ型と違い、クラウドは特にデータも軽く動作も速い。
Medixsが特徴的なのは、ブラウザ(GoogleChrome)上で動くこと。セキュリティ面でも安心。
また費用面でも、1薬局につき何台の端末で利用しても月額使用料が変わらないコスパの良さもアピールポイント。最近の変化としては、画面の色調がオレンジ色から一般的なものに変わって「目に優しくなっています」とのこと。

株式会社EMシステムズ

MAPs for PHARMACY DX
“電子処方箋時代のオールインワンシステム”をコンセプトに開発されたクラウド型薬局業務支援システムとして先駆的な「MAPs for PHARMACY DX」をメインにデモを行ない、オンライン時代の薬局の業務フローに最適化した設計であることを紹介。レセコン・薬歴・在庫がすべてクラウドであることから、サイバーセキュリティ対策としての強みもあり、また薬局内で同時接続する端末数だけで月額利用料金をカウントするコスト感も魅力だ。
オプションとして二次元コードが付いていない処方箋も読み込めるAI+医療専門OCRを搭載の処方箋リーダーを展示。他社でも同機能を搭載している製品が出てきている話題になると、「他社よりも早く医療専門OCRを搭載しているのでノウハウがある」ことが強みとのこと。
参考出品として、処方箋の集中入力をサポートする「処方箋シェアリング」を展示。調剤事務の業務効率化への貢献度は期待以上ではないだろうか。

ウィーメックス株式会社/東日本メディコム株式会社

薬局支援システム「Pharnes」 シリーズで高いシェアを誇るウィーメックスと、同じく多くの支持を得ている「Drugstar」シリーズを展開する東日本メディコムが共同出展。クラウド薬歴「Drugstar Lead」は、患者さん向けの「お薬がどう変更したのかがわかりやすい」画面や帳票が特長だ。
今回はAIと医療専用OCRの技術を組み合わせた処方箋入力支援サービス「薬師丸賢太」(NeoX株式会社)との連携と今秋のサービスインを発表し、業務効率化・調剤過誤防止への機能強化を示した。
またこのほど発表された「ChatGPT」と音声認識AIを活用した薬歴入力支援システムの実証実験も注目ポイント。学会でのデザートセミナーで行われたデモでは、模擬服薬指導が終了した後、1分前後程度でSOAP形式にしていた。実用化が期待される機能だ。

ウィーメックスヘルスケアシステムズ株式会社

Pharma-SEED EX
今年10月2日、富士フイルムヘルスケアシステムズの医療IT事業部門が社名変更し、ウィーメックス株式会社の一員として新たにスタート。「Pharma-SEED」はさらに前身となる日立グループの医療部門がオフコン時代から培ってきた定評があるシステム。展示会では特に、オンプレとクラウドのメリットを活かした「ハイブリッド型電子薬歴システム」「Pharma-SEED LinkⅡ」を紹介。基本的にクラウド薬歴として稼働し、通信障害などでもオンプレで動く安心感がある。
気になるウィーメックス社「Pharnes」との統合計画は「ありません」とのこと。

株式会社カケハシ

センセーショナルなプロモーションが印象的な電子薬歴システム「Musubi」を展開するカケハシは、本展示会では「薬局、だけじゃない」というフレーズを掲げ、近年取り組んでいる大学薬学部とのコラボによる教育現場へのICT教育への参画や共同研究を紹介。ヘルスケア産業の育成に貢献する企業姿勢と取組み実績を紹介するブース展示を行なっていた。「Musubi」自体は大きな機能アップはされていないとのこと。
なお、カケハシが共催したランチョンセミナーではBIツール「Musubi Insghit」を使った薬局マネジメントの事例が発表されていた。

株式会社シグマソリューションズ/株式会社寺岡精工

エリシアS」(シグマソリューションズ)
クラウドも使える電子薬歴を搭載した調剤薬局ソリューションシステム「エリシアS」が新たに実現したサービスが「処方箋スクラム入力」(特許取得)。同一チェーン薬局の各店舗や本部が処方箋入力業務を安全に分担できる仕様で、調剤事務員の急な欠勤などでの対応や、遠隔での入力支援ができるため、入力センターで運用することも可能となる。
自動精算機「HappySelf」(寺岡精工)
流通業界でもレジスター開発製造で高い実績を誇る寺岡精工はシグマ社との共同出展で医療施設モデルの自動精算機「HappySelf」のデモを実施。全国的な労働人材不足やコロナ禍を経ての非接触対応を背景に自動精算機の普及が進んでいるが、病院での導入の増加とともに薬局現場でも採用が進んでいるそう。N-Ships連動で薬局向けのインターフェイスとなっている。

株式会社ソラミチシステム

クラウド型「CARADA電子薬歴 Solamichi」
ハートフルな医療のサポートをモットーに、2018年に創業した同社の「Solamichi」は、常に薬局・薬剤師業務にとって役に立つ機能をきめ細かに追加している。中でも特に強調したいのは特許登録もされた「指導ナビ」機能。患者ごとに個別に性別、年齢、処方内容、前回、過去の服用歴などを元に、そのときごとに適切な服薬指導をアシストしてくれる。

三菱電機ITソリューションズ株式会社

次世代コミュニケーションサービス「AnyCOMPASS
レセコン「調剤Melphin」、電子薬歴「Melhis」シリーズで多くのユーザーに支持されてきた三菱電機が新たにクラウドサービスに乗り出すにあたり「AnyCOMPASS」のブランドを掲げて大々的にブース展開していた。すでにサービスインしているクラウド電子薬歴は、同社レセコンとの一体型での運用でスムーズに連動するのが強みだ。




電子薬歴システムは大手総合メーカーから専門メーカーまでクラウド化された製品が出揃った感がある。
医療のオンライン化や電子処方箋の時代を迎えるいま、先を見据えた体制を整えるうえでも、システムの刷新を検討すべき時期だと考える。

②薬剤監査・在庫管理編 ③調剤機器編 もぜひご覧ください。
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