TXP Medical 製薬企業向け「Patient Journeyサービス」を提供 医療データで診断と治療戦略を定量化
https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=75345
ミクスOnline さんの記事からです。
Customer Journey,いつの頃からかよく耳にするようになったワードのような気がします。「旅」というくらいですから、そこには顧客がある製品やサービスと出会って、どのように距離を詰めて、選択したのか。その後、使い続けたのか?或いはドロップアウトしたのか。長い時間軸での物語を捉える行為だと理解しています。
製薬会社にとって、特に医療用医薬品メーカーならばなおのこと、Customer(顧客)たる患者さんとは医薬品卸・医師・薬剤師などを挟んだ距離間から、最終消費者であるにも関わらず、なかなか掴み切れない存在だったのではないでしょうか。
従って、顧客の「旅路」どころか、顧客(patient)の当該時点を知るという初歩的なマーケティングさえ、覚束ない業界であり続けてきたのだろうと思います。ただし、一般業界と大きく異なるのは、医療用医薬品の最終消費者は患者であっても、処方を決めるのは医師であり、助言するのが薬剤師だということ。顧客がまったくもって自由意志で決めているわけではないという点です。
この記事のサービスは、こうしたある意味ブラックボックス的だった、診療プロセスを見える化しようとしているようです。検査値と処方との関係性、医師の心象でしかなかった患者の体験、処方を選択するまでのあらゆるファクターを定量化し、製薬会社の意思決定に影響を与えるフィードバックを目指す。
サービスプロバイダーはこれに留まらず、医師と患者との相互理解を深める活動支援も視野に入れているという視点も持っているとのこと。個人的にはここに近未来医療サポートとして大きな可能性を感じます。なぜなら、超高齢社会は慢性疾患増=薬物治療比率増、つまり複数の選択肢を有する患者が増え、必然的にSDM(Shared Decision Making)が求められるシーンが恒常化するはずです。医師と患者とが一緒に意思決定するSDM時代に、非常に大切なツールになり得ると思われます。
何もこれを医師=患者間にとどめておく必要はないでしょう。アクティブ期ではない慢性疾患の高齢患者さんのフォローは、薬局薬剤師が最適だからです。薬剤師目線でも注目しておく価値はあると踏みました。
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