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薬局DXニュース解説

2023.08.09

オンライン資格確認システムトラブル 本当にトラブルは多発しているのか?

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大阪府保険医協会が公表した調査結果によると、オンライン資格確認システムを運用している医療機関の7割近くがトラブルを経験しており、最も多いのは「資格が無効」。「名前・住所の間違い」「負担割合の齟齬」「限度額認定の誤り」なども挙げられているという。

オンライン資格確認トラブル、7割近くの医療機関で

オンライン資格確認トラブル、7割近くの医療機関で
大阪府保険医協会は協会員に対してアンケートを実施し、オンライン資格確認システムで引き続きトラブルが発生していることを公表した。

ただ、詳しく内容を読んでみると、些かデータの捉え方に疑問があることがわかる。
例えば

会員医療機関(4186施設)を対象にファクスによるアンケート調査を実施。7月27日までに、225医療機関から回答を得た。

とある。この時点で、全協会員のうち回答割合はわずか5.4%である。つまり、大阪府保険医協会の主張はは厳密に言えば回答した5.4%の協会員の声を代弁しただけに過ぎないことに注意したい。
さらに

225施設のうち、196施設でオンライン資格確認システムを運用していた(準備中・経過措置中29施設を含む)。そのうち、68.9%が「6月1日以降もトラブルがあった」と回答した

回答した協会員のうち87.1%がオンライン資格確認システムを導入している。これは一見非常に高い値に見えるが、オンライン資格確認システム自体は、本来は4月から導入が義務化されており、期限間際になれば混雑することは目に見えており、それに間に合わせるように余裕を持って導入するべきである。しかし12.9%の医療機関はまだ導入していないということになる。(導入契約はしているが機器の設置が間に合わないなどの事情の場合は9月までは経過措置として認められている)

そして196施設の中の68.9%、すなわち135施設が「6月1日以降もトラブルがあった」と回答しているのである。こうして見ると「約7割近くにトラブルがあった」とする見出しは一見正しいように見える。ただ、これはあまでもアンケートに回答した196施設の回答である点に留意したい。つまりなぜか不具合多発で一言物申したい協会員が積極的にアンケートに回答した、というバイアスがかかっている可能性も否定できない。特に問題なく稼働できていて義務でないアンケートならスルーする可能性も高いだろう。

よって母数を会員医療機関(4186施設)とすれば明確に「トラブルがあった」と回答している施設(135施設)の割合はわずか約3.2%ということになる。

それを「オンライン資格確認トラブル、7割近くの医療機関で」と発表するのは些か乱暴なデータの取り方ではないだろうか?
こういうケースでは必ず母数を確認した方が良いだろう。

皆さんの施設では稼働してますか?
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