2024年12月23日に発表された共同声明では、サスメド社が開発した不眠障害用アプリ「サスメド Med CBT-i」の診療報酬化について、対面による認知行動療法との整合性や医療費増大への懸念から、より慎重な議論を求めている。特に注目すべき点は、対面での認知行動療法が保険適用されていない現状で、アプリのみが診療報酬化される可能性への強い違和感が示されたことだ。
この動きは、DTx業界全体が直面している構造的な課題を映し出している。製薬企業のDTx関連予算が縮小傾向にある中、業界関係者からは「製薬マーケットからの予算確保が以前より困難になっている」との声が聞かれている。2020年頃から活発化したDTx開発も、最近では新規プロジェクトの立ち上げが減速している印象だ。
しかし、この状況は必ずしもDTx市場の衰退を意味するものではない。むしろ、業界の成熟化の表れとも解釈できる。これまでの「ざっくりとした構想」から、より具体的な価値提供と実装可能性を重視する方向への転換期に差し掛かっているといえる。海外での保険償還動向や、実際の臨床現場でのニーズ把握など、より深い検討が必要とされている。
専門学会からの今回の提言は、DTxの実装における重要な課題を提起している。診療報酬化の議論においては、既存の治療法との整合性や、医療費への影響など、多角的な検討が不可欠だ。今後のDTx開発では、こうした課題を踏まえた上で、より綿密な開発戦略とビジネスモデルの構築が求められることになるだろう。
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