薬不足危機を止めろ! 立民・国民が薬価改定ルール大転換へ法案提出
医薬品の安定供給が危ぶまれるなか、立憲民主党と国民民主党が薬価制度の抜本的な見直しに乗り出した。両党は20日、毎年の薬価改定を廃止し2年に1度の改定とする法案を共同提出。7年連続の薬価引き下げで揺らぐ医薬品産業の立て直しを図る。深刻化する薬不足問題の解決に向け、業界からは期待の声が上がっている。
立憲民主党と国民民主党は2024年12月20日、医薬品の安定供給を目指し、薬価改定の頻度を見直す議員立法法案を衆議院に共同提出しました。現行制度では毎年実施されている薬価改定を、2年に1度の実施へと変更することを主な内容としています。
この法案の背景には、7年連続での薬価引き下げにより、医薬品産業の基盤が不安定化している現状があります。立憲民主党の中島克仁衆議院議員は、医薬品産業の基盤が大きく揺らいでいる現状に警鐘を鳴らしています。
なぜ中間年改定の廃止を求めるのか?
医療業界から中間年改定の廃止を求める声が高まっている背景には、製薬企業の経営環境の悪化と医薬品の安定供給への懸念があります。日本製薬工業協会や日本医師会は、毎年の薬価引き下げにより、特にジェネリック医薬品メーカーの撤退や製造中止が相次いでいることを指摘しています。
また、医療現場からは、頻繁な価格改定により医薬品の在庫管理が複雑化し、薬剤の安定供給に支障をきたしているとの指摘もあります。特に地方の医療機関や薬局では、採算性の低下により必要な医薬品の確保が困難になるケースが報告されています。
このような状況を受け、医薬品の安定供給体制の確保と国内製薬産業の維持・発展の観点から、中間年改定の廃止を通じた薬価制度の見直しを求める声が、医療関係者や産業界から幅広く上がっています。
さらに、国民民主党田村まみ参議院議員も、本法案提出に先立ち、12月6日に石破茂首相との会談の場で中間年改定の廃止を要請していました。これまで薬価改定は厚生労働大臣の裁量による運用で行われてきましたが、今回の法案では法制化によって改定頻度を明確に規定することを目指しています。
本法案は、深刻化する医薬品不足の解消や、製薬産業の安定性確保を通じて、国民医療の持続可能性を高めることを目的としています。医療提供体制の維持という観点からも、今後の審議の行方が注目されます。
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