長生堂製薬株式会社(徳島県徳島市)は5月24日、同社の川内工場(徳島県徳島市)で製造工程において承認書と異なる製造方法が行われていたと発表した。
同社は3年前の2021年にも徳島県から医薬品医療機器法に違反する行為があったとして、徳島県から業務停止命令ならびに業務改善命令を受け、改善に取り組んでいたが、川内工場で再び製造管理上の不備が確認された。具体的には、承認書に記載のない打錠用粉末の追加乾燥や、逸脱処理を適切に実施していない事象があった。
当社川内工場における不適切な方法による製造行為及び業務改善施策の強化について
同社は「改善の取り組みが川内工場において不十分であった」と発表し、速やかに同工場の製品出荷と製造を停止した。関連する製造販売業者にも報告し、自主回収の要否を検討するとしている。
同社のサイトによれば、川内工場はセフェム系抗生物質製剤専用の製造拠点とされ、他の医薬品メーカーの受託生産も行っていると紹介されていることから、製造停止が長期間に及んだ場合、製造を委託をしている他の製薬メーカーの出荷にも影響が及ぶ可能性がある。
なお、品質試験には適合しており、「現時点で健康被害リスクは極めて低い」としているが、「このような事態を重く受け止め、業務改善施策の強化に向けた検討を速やかに行う」と説明した。
3年前の業務停止命令を受けて以降、製薬企業としての品質保証体制の構築が課題となっていたが、本件は改善の遅れを改めて浮き彫りにした形だ。
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