世界最大手のジェネリック医薬品メーカー、テバファーマスーティカル・インダストリーズが、日本事業の見直しに着手した。リチャード・フランシスCEOは2024年第1四半期決算説明会で、日本のジェネリック医薬品事業について「売却を検討している」と表明した。2025年中の事業譲渡を見込んでいると具体的なタイムラインを示した。ジェネリック医薬品が主力の同社にとって、事業譲渡は事実上の日本撤退となる公算が大きい。
テバ 「日本のジェネリック事業の譲渡を検討」25年中の売却見込む フランシスCEOが決算会見で表明
フランシスCEOは、2024年第1四半期に約6億ドルの減損処理が必要になると説明。「利益を生み出せないビジネスからは資本を引き上げ、有望な分野に集中投資する」と語った。
日本のジェネリック医薬品市場は、後発品の低価格競争が激化する中、相次ぐ薬価改定の影響や円安の影響も重なり、近年は伸び悩みが続いている。テバにとって日本はかつてジェネリック主力市場の一つだったが、厳しい事業環境の中で足元が踊らされた形だ。
同社CFOは「日本市場ではジェネリック事業の収益性が低下し、他の地域で得た利益を相殺してしまう状況にある」と指摘。テバは日本事業の収益力改善を諦め、有望市場への経営資源の集中を選択したものとみられる。
また、テバの強みは自社でジェネリック医薬品を供給するだけでなく元となる原薬の多くを同業ジェネリック医薬品メーカーに供給している点だ、事業売却に伴い、今後、医薬品供給にも影響が及ぶ可能性も否定できない。
ただ、武田テバ広報部は「検討の初期段階で確定していない。現時点で事業運営に変更はない」とし、慎重な対応を見せている他、フランシスCEOも日本撤退は否定している。
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