2024年版 ピッキング監査システムの比較
薬局経営者・システム担当者のためのシステム選びサポート&システム比較シリーズ。薬局経営歴20年のベテラン経営者が、新米システム担当者(薬局勤務7年目、管理薬剤師歴2年)に各システム選びのポイントを伝授します。
新米システム担当者
先日、グループ内のとある店舗で調剤過誤が発生して、社長が謝り行ったんですよね。それからすぐに「このようなことは二度とあってはならない!調剤監査システムを検討しろ」との指示を受けちゃったんですけど・・・
監査システムってどれも同じですよね?
ベテラン経営者
そうそう、どれも同じ。って、それじゃこのコーナーこれでおしまいでしょ!!
いやいや、できることは同じでも、端末の違いや、写真が保存できたり、違いが結構あるんだよ。
監査システムは薬局業務に不可欠で、一度使い始めたら、凄く便利で安心なので現場の薬剤師からは好評と聞くね。
そういうもんなんすね。
それで、どんな調剤過誤だったの?
モノ間違いだったんですよね。
患者さんの方が服用する前に気づいてくれたので事故には至らずだったのは幸いだったんですけど。患者さんからどういうチェック体制しているのかって詰められた時に答えられなかったみたいで・・・
患者さんからしても、
「今の時代、システム的なチェックぐらいは当たり前にしているだろう」
という期待値があるね。
システム的なチェックを入れる意味やメリットは何だと思うかい?
間違えない、安全性を高める、でしょうか。
もちろんそうじゃが・・・。
調剤事故が薬局に与えるダメージ
1. 人的なダメージ
患者への直接的な被害、社員の自信喪失、有能な社員の喪失、薬剤師採用への悪影響
2. 財的ダメージ
損害賠償請求、評判悪化による患者数減→売上減少
3. 責任追及ダメージ
問題を起こしたことに対する責任、賠償責任、クレーマー
4. 将来利益を失うダメージ
新規開局予定の延期・中止
5. 組織のイメージが低下するダメージ
組織に対する信頼感、好感度が低下、複数店舗経営の場合は、ダメージ×店舗数に!
システム的な監査を使用する意味は、100%の安全性を目指すことにあるんだよ。
例えば、目検による人間の監査ではどうしても100%にならない。
ヒューマンエラーへの対策
・一人一人に注意を促し、各人の責任を明確にし、ミスを犯さないようにと精神論を説いても、ヒューマンエラーがゼロになることはない。
・仮にまったくミスのない人間がいたとしても、それはその人だけのこと。
人の入れ替わりがあった時に、ミスが急激に増える。店舗数を増やしていく時に、品質を保つのが困難。
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リスクへの組織的対応が必要
・リスクを低下させる仕組み作り
(業務フロー改善、相互チェック、整理整頓、教育研修・・・)
・リスクを低下させるシステムの導入
(調剤監査システムの導入)
なるほど!
リスク対策の手順
調剤過誤をゼロにするという大目標だけで、「あれもこれも」と間口を広げると、すべてが中途半端になる。
薬局内の業務フローのどこに過誤リスクがあるのかを分析(発生確率と事故発生時の重大さでポイントをつける)し、ポイントの高いところから対処していくのが鉄則だね。
ま、だいたいは発生頻度の高いモノ間違いリスクをどう低減していくのかから対処していくことになるけど。
リスク分析して、どこから改善するか、選択と集中なんですね。
薬局のリスクマネージメントについて、理解できたね。
薬局規模が大きくなってくると経営者側に役立つ機能がはいっているかどうかもより重要になってくるよ。
それでは、監査システムの基本から押さえていこうか。
監査システムとは
薬剤(医薬品)を監査(正しくあっているかを確認)するシステムです。
別名として調剤過誤防止システム、監査支援システム、調剤監査支援システム、調剤監査業務補助システム、調剤秤量監査システム、医療用医薬品処方監査システムなど色々な呼び方があります。
監査システムの基本機能
・ピッキング支援(調剤補助)
・調剤医薬品の写真保存
・棚卸(集計・データ出力)
・医薬品の発注機能
・予製
など
監査システムっていろんな機能があるんですね。
そうなんだよ。
監査システムってスマホ型、設置型、ハンディ型などいろんなタイプがあり、タイプ別でメリット・デメリットがあるから比較してみていこうか。
監査システムのメリット・デメリットと歴史
ハンディ型(第一世代)
<メリット>
・専用端末を採用しているケースが多いので、落下等にも安心
・複数導入が可能な為、1人1台利用可(監査渋滞の心配不要)
<デメリット>
・WindowsCEベースを引き継いでおり、専用端末であることが多い
・端末価格が高く、専用PCの追加費用あり(1台15万~)
・画面がスマホ型よりも小さい
・写真が残せない
設置型(第二世代)
<メリット>
・数量も監査ができる機種が比較的多い
・一括読取ができ監査時間が短縮できる
<デメリット>
・機械が大きく、スペースが必要
・1台を使いまわす為、監査渋滞になる可能性がある
・端末価格が最も高い(1台100万~)
スマホ型(第三世代)
<メリット>
・写真が撮れる(保存期間制限なし)
・サイズが小さく、導入しやすい(スマホなので普段使い慣れている人も多い)
・複数導入が可能な為、1人1台利用可(監査渋滞の心配不要)
・端末価格が比較的安価である(1台中古3万~、1台新品5万~)
・本部でクラウド管理が可能(各店舗の使用件数/率、調剤過誤件数/率 等データ確認が可能)
<デメリット>
・錠数監査ができない ※錠数監査ができる機器もあるがその分、オプションで高価な金額になる
価格的には、スマホ型のタイプが導入しやすそうですね。
最近はスマホタイプでも設置型タイプと同様に一括監査が可能な端末も出てきているみたいだよ。
そうなんですね。どんどん使いやすい機能追加や端末が選べて薬剤師の業務負担が減っていきますね。
薬剤師の負担を減らしていけるよう簡単に安心して使えるシステムを選んでいくことが大事だね。
調剤監査の主要メーカー
タイプ |
メーカー |
商品名 |
スマホ型 |
株式会社ファルモ |
EveryPick |
スマホ型 |
株式会社湯山製作所 |
NEW PORIS |
設置型 |
オークラ情報システム株式会社 |
監査レンジ |
設置型 |
株式会社コンテック |
audit |
ハンディ型 |
株式会社クカメディカル |
ミスゼロ子 |
監査システムの比較
メーカー |
(株)ファルモ |
オークラ情報システム(株) |
(株)クカメディカル |
商品名 |
【EveryPick】 |
【監査レンジ】 |
【ミスゼロ子】 |
タイプ |
スマホ型(第三世代) |
置き型(第二世代) |
ハンディ型(第一世代) |
セールスポイント |
・iPhone、iPadで使えて
操作が簡単
・クラウド型の為、
本部で使用状況が管理できる
・薬剤師賠償責任保険付き
・マルチスキャン機能で
一括監査が可能
・写真にてエビデンス保存可能
|
・トレイに入れて撮影した画像を元に、薬品マスタとして登録してある画像との照合
・画像からバーコード部分を読み取ってコードによる照合
・写真にてエビデンス保存可能
|
・半錠・1錠単位で、きっちりチェックできる
・システムの管理に使うには専用PCが必要
・ハンディ端末とは無線LAN接続
レセコンとは有線LANでの接続が可能
|
端末 |
iPhone・iPad端末
|
設置型端末
|
専用ハンディ端末
|
画像保存 |
保存機能有り |
保存機能有り |
保存機能無し
|
予製剤 |
可能
|
可能 |
可能 |
同時調剤 |
可能 |
不可能 |
可能 |
薬品データ |
1日2回更新 |
手動更新 |
自動更新 |
初期費用 |
200,000円~ |
700,000円~ |
1,200,000円~ ※ハンディ2台
|
月額費用 |
8,000円~ ※台数制限無
|
8,000円~ |
実質:3,750円程
(年間保守料45,000円÷12)
【年間保守料】※月額払い不可
合計:45,000円(税抜)
<内訳>
PC本体 10,000円(税抜)
ソフト保守 25,000円(税抜)
ハンディ端末10,000円(税抜)
|
株式会社ファルモ【EveryPick】スマホ型 【無料トライアルあり】
オークラ情報システム株式会社 【監査レンジ】 設置型
株式会社クカメディカル【ミスゼロ子】ハンディ型
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