-地方と都市部の抗菌薬の処方に関する調査- 地方と都市部での知識の差は少ない、しかし行動には違いが!
https://www.atpress.ne.jp/news/383360
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院 AMR臨床リファレンスセンターのプレスリリースです。
知識量が同等で、行動には違いがでるとはどういうことか。ふつうに考えれば、〝知識〟と〝行動〟の間にある何かが異なるということだと思われます。その間にあるものとは、〝解釈〟とか〝価値観〟などでしょうか。
具体的には都市部の住人の方が地方居住者に比べて、どうやら医師にモノを言う方が多いという事実。〝抗菌薬が欲しい〟とか〝質問を投げかける〟とか。これが何を示しているかといえば、医療コミュニケーションの〝時代〟が都市部と地方とでは異なる可能性があると思うのです。
例えば、地方の方がパターナリズム的要素は強く、〝黙って医師の言うことを聞いておく〟方が多いのかも知れません。対して、都市部は患者が〝モノを言う〟。でも、風邪をひいて抗菌薬とかまかり通っているのであれば、正解・不正解以前に不適切なコミュニケーションが生じているような気もします。急性疾患なんて、患者の声に耳を傾けるShared Decision Making;SDM的なコミュニケーションを採用する場面ではないわけですから。
安く薬を入手したい声の大きい患者がいるのはわかりますが...。
他方で〝知識量〟が同等だとしても、そもそもその〝知識〟の中身(質)が異なる可能性だってあり得えます。もしそうであれば、スタートラインから都市部と地方の住人が異なる場所に立っている可能性も、ある。
情報源を見てみると〝SNS〟においてのみ、都市部が地方のダブルスコア以上になっています。この影響はないのか。ネットを情報源にすること自体が悪いわけではないでしょうが、SNSとなるとより玉石混交の確率が高まります。ひょっとしたら、宜しくない情報源の存在と影響が、都市部により色濃く出ているってことも、あるのかも知れません。
いずれにしても、医療従事者にとっても、一般市民にとっても、ちょっと立ち止まって考えなおす良い機会になりそうな記事(データ)だと思います。
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