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薬局DXニュース解説

2023.09.20

医薬品供給安定に情報共有議論、これこそ共通基盤とAIの出番!

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医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議は「供給情報ワーキンググループ」を設置。医薬品の供給不安が長引く中、在庫量の把握に向けた情報共有のあり方を検討していく。医療機関や薬局での在庫偏在が指摘される中で、情報共有のシステム化も含めた対応を行う方針だ。

厚労省・安定確保供給情報WG 医薬品供給情報共有へ議論スタート システム化も視野
https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=75311
医療機関や薬局等の在庫偏在への対応策を検討
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/202309/581084.html

Onlineミクスさんと、DIオンラインさんの記事からです。


こんなに長い年月、医薬品が供給不安に陥るなんて思っていませんでした。

世界でも自国に製薬企業を有している国は、実は稀で、別に発展途上国ではなくても意外と存在しない。例えば、オーストラリアなんかでもジェネリックメーカーしかないんだと聞いたことがあります。

逆にいうと、なんだかんだ言っても国産の製薬企業を持つ日本という国は、素晴らしいのだと思っていました。が、どうでしょう?ジェネリックも含めて本邦には100を遥かに超えるメーカーがひしめいていますが、逆にその規模の小さいメーカーの多さ、ジェネリックに至っては同じ成分を何社もが製造している乱立ぶりが、生産効率も事業効率も悪い結果を構造的に招いているのではないか。今となってはそう思えたりもします。

さて、今回議論されているのは医薬品の供給情報を共有しようというテーマ。今申し上げたような供給側の事情を詳らかに開示・共有することと、需要側たる医療施設の在庫状況の共有とが並列議論されているようです。

確かに生産から最終消費までのサプライチェーン全体が共通基盤として見える必要があるのは、正しいと思います。そのためのシステム基盤の構築は必須でしょう。あくまでナショナル・インフラであるべきでしょう。

議論のなかで「見えるだけではダメだ。どう分配するかが問題だ」との声が挙がっているようですが、それも当然。見えるだけでは、一部の施設からの買い占めなどを誘発しかねない。そんなことは初めからわかっていて、全部が見える共通基盤をベースに、消費実態に即し、患者の薬物治療へのネガティブインパクトも最小限に抑える、「公平*」な配分に関する意思決定が必要でしょう(*注;平等ではない)。

そんな意思決定が出来る人がいるのか?

それこそ、AIの出番でしょう。都心の大学病院だとか、山間部のひなびた診療所だとか、大手チェーン薬局の基幹店舗だとか、過疎地域の個人薬局だとか、そんな属性や権威などにも忖度せず(忖度しようがない)、でも実態・事情に即した判断ができる医薬品配分AIを開発するのです。

予め申しておきますが、AIだからといって万能ではありません。実運用で少々具合がわるい判断が出たにしても、詰問しないことが大事。冷静に原因を学習させて、より良い配分AIに人間の手で仕上げていけば良いのです。どうせ、今の現状よりもトータルで悪くなることなんて、逆立ちしても起こらないはずですから。
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