2025年12月19日に次期報酬改定の改定率が公表されました。大型プラスとなる技術料本体「3.09%」。薬価改定はまだ確定ではないですが「▲0.8%」と言われており、ネット(合計)で「約2.3%」という2014年以来の「真水」プラス改定となります。物価高、賃上げという中、より大きいプラス幅を要求していた医療業界にとって物足りない改定率かもしれませんが、社会保障改革など進められている中、当初「プラス1.1%」から始まった議論が、約3%で着地したことは及第点といえるのではないでしょうか。
大型プラス改定と調剤報酬との関係性を見る
報酬を予測していく上で「財源」(改定率)を加味して考えていくことは必須です。財源を無視した改定予測は「予測」ではなく主観による「予想」です。賃上げを中心とした大型プラス改定となる中で、この改定率が調剤報酬にどのような影響を与えるのか私なりの見解を皆さんにお伝えしたいと思います。
”調剤”は見せかけの大型プラス改定になる
これが現時点での私の見方です。具体的な調剤報酬への配分率が公表されていないため、現時点での印象です。それはなぜなのか。
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賃上げ対応 |
+1.70% |
賃上げ対応 |
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物価対応 |
+1.29% |
物価、食費・光熱水費、その他 |
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政策改定 (通常改定分)
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+0.25% |
医療の高度化、医療機能の強化 |
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適正化・効率化 |
▲0.15% |
外来・在宅の適正化 調剤報酬の適正化(基本料・後発)
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改定率の考え方は、「医科・歯科・調剤」の技術料全体に掛かる項目と、各報酬に掛かる個別項目があります。政策改定(通常改定分)の部分が「1:1.1:0.3」という配分に基づいて各報酬の実質改定率となります。
一方で、それ以外の項目については「技術料全体」に掛かる項目といえます。前回改定の資料を見るとわかりやすいと思います。
プラス0.88%という改定率から※2.3.4を差し引い「+0.44%」が実質改定率となり、各科に配分されています。
今回の公表されている改定率内訳をみると「賃上げ対応:1.70%」「物価:1.29%」「適正化・効率化:▲0.15%」となっており、個別配分の原資は「通常改定:0.25%」です。前回改定の「0.46%」を下回っています。
さらに適正化される項目に「調剤報酬の適正化(調剤基本料・後発医薬品調剤体制加算)」が挙げられています。この「▲0.15%」の対象は、調剤技術料ではなく技術料全体に対する「▲0.15%」です。調剤技術料2.6兆円に対し、全体技術料約20兆円。母数が大きいと適正額も大きくなります。そしてその対象の一つに調剤報酬が含まれています。
そしてこの書き方、「適正化」枠によってマイナスとなった分の補てんが、調剤報酬(財源)に反映されない外枠的な改定になるということです。
ダメ押しで重要なポイントがもう一点。「賃上げ対応+1.70%」です。12月5日に開催された中医協「賃上げその1」の議論に「調剤・薬局」という用語はありません。話題の中心は調剤以外に新設された「ベースアップ評価料」についてです。基本料・基本診療料の引き上げは「物価対応」に組み込まれると考えると、今回も基本料のみの「賃上げ対応」となるなら、調剤は「賃上げ:+1.70」の恩恵を受けないことになります。
そろそろ、何を言っているのか意味が分からなってきた頃でしょうか。
結論、個別改定率が出てみないとわかりませんが、今回の大型プラス改定は「調剤にあまり恩恵がない」可能性があるということです。
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