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薬局DXニュース解説

2025.03.12

待機続く緊急避妊薬市販化 - 国際女性デーに考える日本の医療アクセス格差

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厚生労働省は「緊急避妊薬」の薬局での試験販売を2026年3月末まで延長する方針を固めました。この決定は、すでに十分なデータが揃っているにも関わらず、市販化の結論を先送りにするものであり、女性の健康と自己決定権を軽視していると言わざるを得ません。

薬剤師の専門性を活かした安全な提供体制が整っているにも関わらず先送りされる市販化

現在の試験販売では、薬剤師が専門的知識に基づいた丁寧な服薬指導と適切なフォローアップを行っています。薬剤師は医薬品の専門家として、利用者のプライバシーに配慮しながら、副作用や注意点の説明、服用後の体調変化への対応、さらには性感染症予防などの包括的な健康支援を提供できる立場にあります。このような薬剤師の積極的な関与により、医師の診察なしでも安全に緊急避妊薬を提供できる体制がすでに実証されています。
日本で緊急避妊薬を入手するには医師の診察と処方箋が必要
公的医療保険が適用されないため、診察料や薬剤費を含めて1万〜2万円前後の費用がかかります。一方、2023年11月から始まった試験販売では、薬剤師との面談を条件に処方箋なしで7千〜9千円程度で購入できますが、対象は全国339薬局に限られています。
市販化を求める声は根強く、厚労省が実施したパブリックコメントには約4.6万件の意見が寄せられ、そのうち約98%が市販化に賛成でした。
試験販売に参加している薬局からは「薬剤師による対面での服薬指導が利用者から高く評価されている」との報告も上がっており、オンライン診療を介した通販よりも迅速かつ安全な提供が可能となっています。海外でも薬剤師が中心となって緊急避妊薬の提供を担っている国が多く、その有効性は国際的にも認められています。

にもかかわらず、厚労省はデータ不足を理由に試験販売をさらに1年延長するという判断を下しました。これは2年以上の試験期間で得られた知見を軽視するもので、科学的根拠に基づく政策決定とは言えません。パブリックコメントで98%もの賛成意見があったにもかかわらず、なお「課題の整理」を続けるというのは、明らかに市販化を遅らせる意図があると言わざるを得ません。

女性の健康に直結する医療アクセスの問題を、これ以上先延ばしにする合理的な理由はありません。薬剤師の専門性を最大限に活かした市販化モデルはすでに確立されており、政府は速やかに市販化の決断をすべきです。日本の女性たちが世界標準の医療アクセスを得るための具体的な一歩を踏み出す時が来ています。
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