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薬局DXニュース解説

2024.04.25

散剤秤量も薬剤師以外へ開放する可能性は? 一包化散薬の重量・成分同時鑑査装置

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株式会社ウィズレイが一包化散薬重量・成分同時鑑査装置「コナミルベース」の販売を開始した。

一包化散薬重量・成分同時鑑査装置「コナミルベース」販売開始のお知らせ https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000094398.html
株式会社ウィズレイさんのプレスリリースです。


一包化された〝後〟の散剤を鑑査する装置が、ついにリリースされたようです!

今から5年前に〝0402通知〟と呼ばれて、物議を醸した薬剤師以外の者による業務可能な範囲には含まれなかった軟・水・散の軽量、混合行為。そのうち、散剤についてその門戸が開かれる可能性が生じた、と捉えて良いのではないでしょうか。

軟膏・水剤・散剤が対象外だったのは、いずれも一旦、混合してしまえば、もう誰にもその正誤は判断できないうえに不可逆的な作業だから。それが本製品を使えば、一包化して混ざってしまっていても〝正誤がわかる〟というなら、話は違ってくるわけで。

極端なはなし、誰が軽量、混合したとしても、最後の最後で専用の鑑査装置がその正誤を正確無比にジャッジしてくれるのならば、その意味はとても大きいでしょう。近い将来、0402通知の3が書き換えられる可能性だってありそうです。

そのための課題はどこにあるでしょうか。きっとそれは、本製品の判定精度にあるのではないかと思います。散剤一包化の作業フローにおいて、最後に関所となるべく機能するのが本製品であり、薬剤師以外に任せるための安全性の担保は判定精度によるからです。

本製品は近赤外分光法(散剤に照射した反射波のスペクトル波形を用いる)で、一包化された散剤の成分を識別するとされています。2020年の同社森山氏論文(*)によれば、感度と特異度で近赤外分光と相反する傾向を有するラマン分光との併用によって、感度96%特異度95%を達成したとありました。今回の記事にある本製品においては、ラマン分光の文字は見られませんが、4年の歳月が近赤外分光の単独運用を可能にしたのかも知れません。

どのような技術的な進展が生まれたのか?そして臨床でどの程度の判定精度を誇るのか?非常に興味深いと思います。いずれにしても、質の高い対人業務の時間がより多く配分できるよう願っています。

*「近赤外分光法およびラマン分光法による一包化散剤識別能力の検討」
 https://www.seikiken.or.jp/books/kaishi/kaishi_smry_116/06.html
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